クラスを超えた高品位再生+iPod対応――ヤマハ 新AVアンプ「DSP-AX#59シリーズ」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年05月01日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
PR
前のページへ 1|2|3       

“ナチュラルサウンド”を具現化したサラウンド音場

 一方、DVDにおけるサラウンド音声にもメスが加えられている。

 ピュアダイレクトモードでの音楽再生ではタイトに締め上げ、メリハリのある音を聴かせる本機だが、DVDのサラウンド再生ではDSP効果を加えないストレートモード時でも、柔らかい質感の音場と適度な広がりを感じさせる。実に自然で癖のない音だ。

 ヤマハ自身が意図したものかどうかは判断つきかねるが、ピュアダイレクトモードでの音楽性、DVD再生時の音場演出と、いずれも用途に合わせた作り込みが行われ、同時に二面性を持つAVアンプへと仕上がっているという印象を強く感じた。

 また昨年来、自然さを増してきている同社のCinema DSPは、今年さらにナチュラルさに磨きがかかっており、サラウンド効果による演出を強く意識させることのない、違和感を感じさせない効果となっている。

 ヤマハと言えば、ハッキリと誰もがわかるDSPによる音場効果が特徴だとかつて言われたことがある。しかし、それもすっかり過去のものとなり、DSPの演算能力増加に伴い、現実感のあるDSPプログラムへと進化した。これもまた、ヤマハが目指す“ナチュラルサウンド”へと近づく一歩なのだろう。

 今回の試聴での主役はDSP-AX759だったが、同時に昨年発表されたヤマハ製スピーカー「NS-525F」も使用している。ヤマハ試聴室ではリファレンススピーカーとしてB&W製のNautilus 804が使用されており、今回もN804を使用した試聴から始まった。

 ところがN804との組み合わせでは、高域にやや耳への刺激を感じさせるクセが出る。Nautilusシリーズに使われているツィーターは、もともと高域にピーク感があり、そのスピーカーの特徴がやや強調気味に出てくるようだった。

 ところがNS-525Fにスピーカーを変更してみると、音域バランスが大きく改善され、フラットに伸びゆく気持ちの良い高音域が得られた。もちろん、価格差なりに分解能や低域の解像度、空気感の表現などに違いはあるが、音域バランスの良さは直接的な音楽の気持ちよさに良い影響をもたらす。

photo DSP-AX759とNS-525シリーズの組み合わせ(サブウーファーはYST-SW515)

 DSP-AX759、NS-525Fともに、ヤマハの新しいナチュラルサウンドを探し、そして完成させたものだ。この両者の組み合わせによる、自然な音の表現がヤマハが今目指している音なのだろう。掲げる理想への着実な歩みが感じられた場面だった。

 こうした着実な歩みをハイエンド機から反映し、それを下の価格帯に展開するのではなく、まずは購入しやすい価格帯の製品に仕込んでいるところに、上位機種からローエンドまで幅広くAVアンプをラインアップする“ヤマハらしさ”がある。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年5月31日