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ハイエンドモニターヘッドフォン Shure「SRH840」を試すiPod Style

» 2010年03月18日 09時09分 公開
[戸津弘貴,iPod Style]
iPod Style

 Shure「SRH840」は、プロオーディオの機材メーカーとして有名なShureが満を持してリリースしたモニターヘッドフォンのフラッグシップモデルである。

photo Shure「SRH840」

 「SRH840」はスタジオレコーディング用としてはもちろん、高品位な音楽鑑賞用ヘッドフォンとしての利用にも対応する、同社最上位モ デルとなるモニターヘッドフォンである。今回のレビューに際して、100時間ほどのエージングを行ったところ、50時間を超えるあたりから低音のこもった感じが晴れ、100時間を超えた時点ではかなり安定した音となったように思う。

 高解像度かつ分解能に優れ、安定した定位といったモニターヘッドフォンとしての要件は満たしているほか、「SRH240」など下位モデルと比較すると音のエッジがはっきりしており、全体的に音の厚みが感じられる作りになっている。

 モニターヘッドフォンとして日本において標準的なソニー「MDR-CD900ST」と比較すると、全体的に華やかな印象を受けるが、CD900STがモニター専用と割り切ったシンプルな音作りとすると、SRH840はモニター用途としての作りは押さえつつ、リスニング用としても利用できるセッティングとなっているように感じた。個人的にはモニター用途として改めて考えた場合、SRH840の方が好みな印象を受けた。

 全体的にいかつい印象を与える筐体だが装着感は悪くない。イヤーパッドは耳全体を包み込むようにフィットし、ヘッドバンドがそっと支えると言う感じで圧迫感を感じにくい。本体重量は約318グラムだが、約200グラムのCD900STの装着感よりも安定しているよう感じた。遮音性は高く、音漏れも少なくい。ケーブルを外して折り畳むことができ、、収納するためのポーチも付属している。また、装着する時に手前になる側へ左右を識別するカラーチップが配置されているなど、細かな部分での配慮が行き届いている。

 ケーブルとイヤーパッドは取り外しと交換が可能で、消耗しやすい部分を交換可能としたロングライフ設計はうれしいところ。付属のカールコードは結構長いが、片側出しのケーブルなのでからまる事もなくそれほど邪魔にならない。気になる場合には、別売りの「Shure ヘッドフォン・ストレートケーブル」と交換すると良いだろう。プラグは、ステレオミニピンジャックとフルサイズのコンバーチブルで使用できるようになっている。

 実売2万円前後の価格ながら、作りもしっかりしていて素材の質感も良く、価格以上の満足感が得られる。解像度や分離感は5万円クラス、10万円クラスのリスニングヘッドフォンと比較しても遜色(そんしょく)ないと感じる。着脱できるカールコード、折り畳み可能なデザイン、長時間の使用でも疲れにくい装着感、予備のイヤーパッドも同梱と、プロフェッショナルユースに最適化されたパッケージは、ハイエンドオーディオを愛する人にも最適なヘッドフォンと言えるのではないだろうか。

 余談だが、展示会にてクオリティに対して安価すぎないか?という質問に対して、プロ用途として高品質なのは当然で、スタジオなどで一括して導入可能なコストもまた、プロ向けとして重要な点と即答があった事もさすがとしか言いようがない。

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