DLNAの仕組みを使って動作するスマートフォン連携の”手裏剣”操作は、なぜ「AQUOS PHONE」限定なのか。そしてシャープが考えるスマートテレビの発展性とは? AV評論家・本田雅一氏が鋭く切り込むインタビュー後編。
前編に続き、シャープの考えるスマートテレビについて、AQUOSの開発陣に詳しい話を聞いていきたい。前回は、DLNAの仕組みを使って動作する”手裏剣”操作が、なぜ「AQUOS PHONE」限定なのだろう? という疑問を最後に提起している。このことについて、簡単におさらいをしておきたい。
”手裏剣”操作とは、AQUOS PHONEの中にある動画、写真、音楽を、AQUOS L5シリーズに飛ばし、無線LANを通じてスマートフォン内のコンテンツを再生させる操作のことだ。画面上で手裏剣を飛ばすようにシュッとフリックすると再生が始まる。この操作の様子が手裏剣を飛ばすように見えるため、”手裏剣”操作と呼ばれるようになった(→手裏剣操作を動画で確認できるレビュー記事)。
その実態は「スマートファミリンク」というAndroid向けの機器連携サービスでり、業界標準のメディア共有手順であるDLNAを通じてテレビとスマートフォンが通信を行っている。DLNAはコンテンツを送信するサーバ(DMS)、再生するレンダラー(DMR)、操作指示を行うコントローラ(DMC)といった要素を家庭内ネットワークを通じて連携させることで、異なる機器間のコンテンツ共有を実現している。
共有するための手順はメーカーが違っていても同じはずなので、手裏剣操作を行う「スマートファミリンク」をインストールできれば、本来ならほかのAndroid端末でも同じように操作ができるはずだ。この点について製品発表時には、“AQUOS PHONEに連携するための専用ハードウェアが入っているからほかの端末では利用できない”といった話も浮上したのだが、AQUOS開発陣に改めて尋ねると、実際にはハードウェアの制限ではなく、「ソフトウェアの動作保証の問題です」と理由を明かしてくれた。
実は、携帯電話で撮影される動画や静止画は、3G携帯電話の規格で定義されているデータ形式で記録されている。3GPPなどの名称で呼ばれている形式だ。この3G用のメディアデータ形式の中身は、そのままではテレビが解釈できない。このため、トランスコード、すなわちテレビが解釈できるデータ形式に翻訳しながら送らなければならない。また、AQUOS PHONEには3D写真や3D動画の撮影が可能な機種もあり、これもスマートファミリンク経由を通じて「AQUOS L5シリーズ」で再生できるようになっているなど、かなり細かな互換性までカバーしている。
いずれにしろ、形式を変換しながらメディアのストリームデータを逐次送信処理できる高性能のスマートフォンでなければならないため、当初はサポートの範囲を狭めていたのだ。今年夏に発売されるシャープ製のスマートフォンならば、すべて手裏剣操作で動画を見ることができる。
では、なぜ”ハードウェアの制限で……”という話が出てきたのかというと、実は手裏剣操作以外の部分でハードウェアに依存している機能があるからだと推察される。AQUOS PHONEにはAQUOSレコーダーで録画した番組をDLNAを通じて再生する機能がある。この処理はとても重いため、高性能なCPUを搭載することでハイビジョン映像の再生をサポートしている。これは処理能力と搭載ハードウェアによる制限なので、アップデートに期待することはできない。
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日