麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
3DにBDオーディオ、ブルーレイ大賞が示したBDの新しい可能性(後編)(1/4 ページ)
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恒例の「DEGジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」授賞式が2月15日に行われた(→関連記事)。前編に続き、後編では「ベスト高音質賞」「ベストレストア/名作リバイバル賞」「ベストインタラクティビティ賞」、そして「グランプリ」受賞作などについて、審査委員長を務めたAV評論家・麻倉怜士氏に詳しく解説してもらおう。
ベスト高音質賞・音楽部門(クラシック)
麻倉氏:「ベスト高音質賞・音楽部門(クラシック)は“大番狂わせ”です。クラシックではNHKエンタープライズの小澤征爾指揮作品が毎年の定番でしたが、今回受賞した「驚異のデュオ ベルリン・フィルハーモニック・デュオ」(発売元・販売元:株式会社カメラータ・トウキョウ)は、“BDオーディオ”です。
この連載でも何度か取り上げていますが、BDオーディオは、収録する映像を最小限にとどめ、BDの持つ容量のほとんどを音質に使います。BDの新しい使い方を提案したとあって、そのテイクオフも含めて評価が高かったのは確かです。
ただ、そうした経緯を差し引いても、「驚異のデュオ」はすばらしい演奏でした。チェロの豊かな基音と倍音がゆたかに鳴り響きながら、音のタペストリーを紡ぎます。2chですが、192kHz/24bitの非圧縮で、アナログ録音のすべての情報量をパッケージしています。同じ音源を使ったパッケージソフトは、これまでにもCDや音楽配信で出ていましたが、BDオーディオはやはり大きく違います。
今回のBDオーディオの受賞は、BDの新しい可能性を示しました。いままでは“映像ファースト”でしたが、“オーディオファースト”でもBDの価値は損なわれない。新しい価値を提示したという点でも意義があります。
クラシック部門は、ノミネートされたほかの作品にも傑作が多いです。例えばNHKエンタープライズの「小澤征爾指揮 水戸室内管弦楽団2012 チェロ独奏 宮田大」は、比較的小さなホールで収録したものですが、緻密(ちみつ)で生々しい音が特長です。日本コロムビアの「ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》バイロイト音楽祭2010」は、これまでも輸入版はあったのですが、新たに日本語歌詞を付けて発売したもの。音も画もすばらしく、それを日本向けにアレンジした点を評価したいですね。
TBS/キングレコードの「西本智実の新世界交響曲 ライヴ・イン・ブダペスト」は、音と演奏は良いものの、サラウンドという割に音が回り込まなかったのが残念でした。左右のチャンネルはしっかりしているのに、センターやリアは音が極端に小さい。製作会社からは、「そういう方針」という説明を受けましたが、それは間違いです。サラウンドというには臨場感が実に不足しています。
ベスト高音質賞・音楽部門(ポップス他)
麻倉氏:「ベスト高音質賞・音楽部門」(ポップス他)は、「オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン」が受賞しました。ホールの広さを感じさせない凝縮感が特長ですね。音数の多さを圧迫感として感じさせず、うまく分散してサラウンドに振り分けています。大勢のキャストで演出された「マスカレード」のシーンや、大合唱のシーンでも音が混濁せず、主人公の声がしっかり聞こえるミキシングのうまさ。5.1chを活用して臨場感を高め、ホールの空気感を聴かせてくれる音作りが高く評価されました。
そのほかのノミネート作では、「FINAL FANTASY Orchestral Album」(発売元:株式会社スクウェア・エニックス、販売元:株式会社ソニー・ミュージックディストリビューション)が、実はかなり意欲的な作品です。チェコに行ってオケを振った(指揮した)というドキュメンタリーで、96kHz/24bitの2ch音声を収録した新規録音のBDオーディオです。
もう1つは、「ももクロ夏のバカ騒ぎ SUMMER DIVE 2012 西武ドーム大会」BD-BOX【初回限定版】 (発売元・販売元:キングレコード株式会社)。ももいろクローバーZは、努力型のアイドルとして共感を呼んでいますね。BD-BOXにも、音質面で“特別なすごさ”がほしかったところです。
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