鼻歌からの検索も可能に?――音楽ビジネスを加速させるGracenoteの新技術(1/2 ページ)
多くのジュークボックスソフトは、音楽CDから音楽をPCに取り込むとき、自動的に曲名やアーティスト名などのデータをデータベースから検索して、IDタグやファイル名に入力してくれる機能を持つ。一般には「CDDB」として知られるこの検索サービスを提供しているのが、米Gracenote社である。
先週、同社のCEOであるクレイグ・パーマー(Craig Palmer)氏、CTO(Chief Technology Officer)のタイ・ロバーツ(Ty Roberts)氏が、新技術のプロモーションを兼ねて来日した。今回は彼らのインタビューを通じて、Gracenoteの持つ技術と、音楽IDビジネスのビジョンについて考えてみる。
音声から音楽情報を検索
現在Gracenoteでは、CDDBとして楽曲で約3000万曲、CDにして約280万枚分の音楽IDデータを保有している。例えばiTunesにCDを突っ込んで音楽情報を検索するとしよう。CDDBのエンジンはまず、音楽CDのTOC(Table Of Contents)のデータを読み取る。そのデータを使ってデータベースを検索し、特定のCDの情報を返す、という仕組みだ。
お気付きのように、このサービスの限界は、音楽CD以外のメディアからはデータベースの検索ができない、という点にある。例えばLPレコードを録音したものであったり、ダウンロードしてバラで買った曲などに対しては、検索する方法がないわけだ。特に米国では楽曲のダウンロード販売が本格的に立ち上がったこともあって、“音楽の入れ物”が必ずしもCDではないという現象が一般化しつつある。
Gracenoteの「MusicID」は、音楽の波形データを元に、楽曲の情報を検索できる技術だ。波形データとはいっても、それをそのままデータベース化したのでは、曲データそのものを保有することと変わりない。これではデータ量が膨大になりすぎる。
そこでMusicIDでは、まず音楽の波形データから、その特徴的な要素のみを抽出する。言わば音楽のガイコツみたいな、ユニークでありながら軽いデータを作り出すわけである。これを彼らは「FingerPrint(指紋)」と呼んでいる。そのFingerPrintの情報を、CDDBと同期させるというわけだ。
だがFingerPrintを作り出すためには、元となる楽曲の波形が必要だ。自社でそれをやるということは、世界中の音楽をいったん自社で買うということになる。しかしそれではビジネスにならない。そこで彼らはうまい方法を考えた。
CDDB検索エンジンの中に、FingerPrint生成機能を埋め込んだのである。つまりCDDBのユーザーがCDを突っ込んでIDを検索するときに、その楽曲のFingerPrintをユーザーのPC内で作り、CDDBに送信するという仕掛けだ。
そもそも初期のCDDBでは、検索しても見つからなかったCD情報をユーザーが自分で入力し、それをCDDBに登録するという機能を持っていた。言わばCDDBは、ユーザー自身が成長させていったデータベースなのである(関連記事)。FingerPrintは、それと同じことをユーザーが気が付かないうちにやってしまう。こうして集められたFingerPrintは、現在400万曲。現在も週2~3万曲といったペースで増え続けている。
MusicIDのサービス
このFingerPrintを使って音楽情報を検索するのが、MusicIDである。これを搭載した製品が、先週発表されたオンキヨーのジュークボックスソフト「CarryOn Music Ver.4.00」だ(関連記事)。
このソフトでは、レコードやカセットテープからPCに録音した音楽情報を検索し、MP3などのIDタグに自動入力してくれる。同様の技術として米MoodLogic社の「MoodLogic」があるが、GracenoteのMusicIDは日本語に対応していること、ユーザーから直接課金しないといった特徴がある。
MusicIDは、PCソフト以外にも活用法がある。音声通話を使って曲の情報を探す、「Mobile MusicID」というのがそれだ。
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