操作性の“ブレンド”が絶妙――LUMIX DMC-FX500「タッチパネル」(後編):あのデジカメ、ココが気になる
シリーズとして初めてタッチパネル液晶を搭載したパナソニックの“LUMXI”「DMC-FX500」。今回はマニュアル撮影や再生画面にタッチパネルがどのように活用されているかチェックする。
シリーズとして初めてタッチパネル液晶を搭載したパナソニックの“LUMXI”「DMC-FX500」。前編に引き続き、その機能をチェックしてみよう。
・前編 指先タッチでAF――LUMIX DMC-FX500「タッチパネル」(前編)
・動画でチェック 動画でみる、タッチパネル搭載デジカメ「DMC-FX500」
指をスライドしてシャッタースピードや絞りを変更
DMC-FX500(以下、FX500)はプログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出といった撮影モードが搭載されており、、同サイズのCCDを搭載するいわば姉妹機の「DMC-FX35」と比べ、より高度なマニュアル撮影が行えるのが特徴。これらのモードでもタッチパネルを活用したユーザーインタフェースを搭載している。
例えば、撮影モードをマニュアル露出とした場合、液晶画面の右端に縦、下部に横のバーが表示されるので、そこにある青いポイントを指でタッチしてドラッグすると、その動きに合わせてシャッタースピードや絞りが変化する。
同じタッチパネルを搭載したソニーのサイバーショットTシリーズは、シャッタースピードや絞りを変更する際、同じようにバーは表示されるが、+−のアイコンを指でタッチする、という仕組みで、あまり直感的とはいえなかった。
FX500は指でポイントをスライドさせるだけと直感的で、より素早く設定が変えられるのが特徴だ。設定したい値でピタッと止めるのはちょっと慣れが必要になるが、特にスローシャッターから一気に高速シャッターに設定する、といった場合だったら、一眼レフカメラのダイヤル操作よりも素早い設定ができた。
個人的には、タッチパネルなのにアイコンを何度もタッチするより、多少ピタッと止めるのが難しいぐらいなめらかな動作の方が好み。この辺は好き好きかもしれないが、こうした割り切りで成功したiPod touchを考えれば、パナソニックの判断は正しいと思う。
シャッタースピード優先/絞り優先の場合は、右端のバーが露出補正、下部のバーがシャッタースピード/絞りの設定となる。これらを変更したあとは、画面右下のアイコンをタッチするとバーが消える。また、「AFAEアイコン」をタッチすると同様にバーが消え、画面上のタッチした場所にAF枠が移動する。
ただ、操作はすべてがタッチパネルで行えるというわけではない、画面に表示されたアイコンを選択するだけで撮影設定を変更できる「クイックメニュー」は十字キーのみでの選択となっているなど、十字キーとの併用となる。この辺りは既存シリーズ製品との操作性を統一したと想像するが、基本機能は十字キー、本製品ならではの機能はタッチパネルという操作性のブレンドは分かりやすく、絶妙な配分といえる。
再生画面では、タッチパネルで触れたところに画面が拡大し、指をスライドさせて拡大位置を移動させることができる。この動きはソニーのサイバーショットTシリーズと比べて滑らかでいい。iPod touchなみとまではいえないが、不満を感じないぐらいなめらかに動いてくれる。1点をタッチし続ければ画像の拡大も可能。
画像送りは全画面表示中に左右のアイコンをタッチする。目新しさはないが明確。iPod touchのような指を左右に滑らすと画像送り、といったような操作はできない。そのほか、サムネイルやカレンダー表示時に画面タッチでダイレクトに画像を選択できる。サイバーショットTのようなお絵かき機能は用意されていないが、この辺りはポリシーの違いだろう。
タッチパネルの魅力は、指で画面に触れた瞬間に反応し、指の動きに応じて滑らかに動作することだと思う。それを見事に体現したのがアップルのiPod touchだ。ただ、静電式パネルを搭載したiPod touchに対して、FX500のパネルは感圧式であり、どうしても「押しつける」といった触れ方が求められる。
それでもFX500は想像以上になめらかに動作し、実用性は高い。静電式と違って手袋をしていても、爪の先でも操作できるので分かりやすいのはメリットだろう。
使っていて気になったのは、やはりAF枠の移動でいちいちAF/AEアイコンをタッチする必要があること。画面上の被写体を触れるだけで、ダイレクトにAF枠の移動ができた方が良かったと思う。シャッタースピードや絞りを変更するバーの操作性は良かったが、これも画面をタッチしたら自動で消え、即座にAF枠の移動ができれば便利だったと感じた。
自動追尾AF/AEは便利だが、UIに関してはもう少し新しい挑戦がほしかったところ。感圧式の場合、iPod touchのような2本指での操作は検知できないという話も聞くが、そうしたこれまでのカメラにはない操作性にもチャレンジしてほしい。
いずれにしても、FX500はタッチパネルでの操作をあまり求めすぎず、既存製品の十字キーを利用した操作性とうまくブレンドすることで、上手にタッチパネルをコンパクトデジカメに取り込んだ製品といえる。今後の製品展開に期待したいところだ。
関連記事
- あのデジカメ、ココが気になる:指先タッチでAF――LUMIX DMC-FX500「タッチパネル」(前編)
パナソニックのDMC-FX500はシリーズ製品として初めてタッチパネル液晶を搭載、指先で画面に触れるだけでAF/AEが行える。同じくタッチパネル液晶を搭載するサイバーショットTシリーズとの違いは? - レビュー:動画でみる、タッチパネル搭載デジカメ「DMC-FX500」
パナソニックのデジタルカメラ“LUMIX”「DMC-FX500」の特徴は、なんといってもシリーズ初となるタッチパネル液晶の搭載だ。そのタッチパネル操作を動画で紹介。 - パナソニック、タッチパネル搭載のプレミアムコンパクト「DMC-FX500」
パナソニックがコンパクトデジタルカメラ“LIMIX”の新製品、「DMC-FX500」を発売。3型のタッチパネル液晶を搭載しており、画面に触れるだけでAF/AEが行える。 - あのデジカメ、ここが気になる:手ブレを防ぎ、流し撮りも気軽に――EXILIM CARD EX-S10「オートシャッター」(後編)
カシオ計算機「EXILIM CARD EX-S10」の「オートシャッター」は、カメラが“最適な瞬間”を自動で切り取ってくれる機能。笑顔以外も自動で撮影してくれるのがユニークだ - あのデジカメ、ここが気になる:笑顔以外もとらえてパチリ――EXILIM CARD EX-S10「オートシャッター」(前編)
笑顔を認識して自動的にシャッターを切るコンパクトデジカメも登場しているが、カシオ計算機の「EXILIM CARD EX-S10」は笑顔以外も認識してくれる。( - あのデジカメ、ここが気になる:便利だが万能ではない――LUMIX DMC-FX35「おまかせiA」(後編)
LUMIX DMC-FX35の「おまかせiA」は、カメラを被写体に向けるだけでそのシーンを自動判別して設定をしてくれる。ただし、万能ではないことには注意が必要だ。 - あのデジカメ、ここが気になる:設定はすべてカメラにおまかせ――LUMIX DMC-FX35「おまかせiA」(前編)
より手軽に、より簡単に、よりキレイにを追求してきたコンパクトデジカメだが、最近では撮影シーンをカメラが自動判別する機能の搭載が進んでいる。LUMIXシリーズの「おまかせiA」もそうした機能のひとつだ。 - あのデジカメ、ココが気になる:手軽なYouTubeアップにその真価――EX-V8「YouTube対応」(後編)
カシオ「EXILIM Hi-ZOOM EX-V8」は、動画撮影機能が充実していることも大きな特徴となっている。前回はその機能について見てみたが、今回は最も特徴的な「YouTube」機能をチェックしてみよう。 - あのデジカメ、ココが気になる:強力&魅力的な動画撮影機能――EX-V8「YouTube対応」(前編)
最近では多くのデジカメが動画撮影機能が備えるが、カシオ「EX-V8」はかなり“使える”。普段は静止画だけという人でも試してほしいと思わせるデキだ。 - あのデジカメ、ココが気になる:無線LAN「環境」が問題か――COOLPIX S51c「無線LAN」(後編)
携帯カメラ感覚で写真を送信できる、ニコン「COOLPIX S51c」の無線LAN機能は想像していた以上に快適。ただ、無線LANを利用するがゆえの課題もある。 - あのデジカメ、ココが気になる:携帯カメラ感覚で写真を送る――COOLPIX S51c「無線LAN」(前編)
カードリーダーやケーブルなしでデジカメで撮影した画像を扱えるのが、「COOLPIX S51c」の無線LAN機能。初期設定の必要はあるが、想像以上に快適だ。 - あのデジカメ、ココが気になる:AF時も有効――EOS 40D「ライブビュー」(後編)
EOS 40DはAF時もライブビュー撮影が可能だが、あくまでも補助的な機能にとどまっている。 - あのデジカメ、ココが気になる:ピタッとMF――EOS 40D「ライブビュー」(前編)
最近のデジ一眼レフのトレンドといえばライブビューだろう。オリンパスが本格導入して以来、新製品ではすっかり一般化した。今回はキヤノン「EOS 40D」のライブビュー機能を検証する。 - あのデジカメ、ココが気になる:これまでの操作性を捨ててもよかった?――DSC-T2「タッチパネル」(後編)
タッチパネルで軽快な操作性を手にしているDSC-T2だが、その操作性自体は初のタッチパネル搭載機からさほど変化していない。 - あのデジカメ、ココが気になる:直感操作が魅力――DSC-T2「タッチパネル」(前編)
「あのデジカメの“ココ”が気になる」という疑問を解明していくこの連載。第1回目は、ソニーのデジカメ「サイバーショット DSC-T2」のタッチパネルを検証する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.