高級コンパクトデジカメ、価格を比較:価格比較
最近ではハイビジョン動画や個人認識、さらには超高速連写など、デジタルであることを前面に押し出した製品も増えているが、“撮ることの楽しさ”を前面に押し出した高級コンパクトデジカメもいちジャンルを築いている。各社製品の価格を比較した。
普段デジタル一眼レフを使っているひとのサブカメラ、あるいは、フルオート撮影中心のコンパクトデジカメに物足りないひと向けとして人気を得ているのが、高級コンパクト、あるいはハイクラスとも呼ばれるデジカメだ。具体的にこれを満たせばという条件はないが、マニュアル撮影に対応し“撮ることの楽しさ”を前面に押し出した性格を持ったレンズ一体型デジカメという理解をすればいいだろう。
代表的な製品としては、キヤノン「PowerShot G10」、リコー「GR DIGITAL II」「GX200」、パナソニック「LUMIX DMC-LX3」、シグマ「DP1」「DP2」、ニコン「COOLPIX P6000」を挙げることができる。価格の比較は下を参照してもらうことにして、まずは撮像素子とレンズの違いを確認しておこう。
製品名 | 撮像素子 | レンズ(35ミリ換算)/F値 |
---|---|---|
PowerShot G10 | 1/1.7型 有効1470万画素CCD | 28〜140ミリ/F2.8〜8 |
GR DIGITAL II | 1/1.8型 有効1001万画素CCD | 28ミリ/F2.4〜11 |
GX200 | 1/1.7型 有効1210万画素CCD | 24〜72ミリ/F2.5〜4.4 |
LUMIX DMC-LX3 | 1/1.63型 有効1010万画素CCD | 24〜60ミリ/F2〜2.8 |
DP1 | 20.7×13.8ミリ 約1406万画素CMOS | 28ミリ/F4 |
DP2 | 20.7×13.8ミリ 約1406万画素CMOS | 41ミリ/F2.8 |
COOLPIX P6000 | 1/1.7型 有効1350万画素CCD | 28〜112ミリ/F2.7〜5.9 |
撮像素子の画素数については10メガ越えがもはや珍しくなく、取りあげた7製品について、最も画素数の少ないGR DIGITAL IIも有効1001万画素となっている。このクラスの製品購入を検討しているならば(A3以上のプリントを念頭におくならば話は少々異なってくるが)単純な画素数よりも、画素数÷素子サイズで求められる、1画素あたりの大きさを意識する方がいいだろう。
撮像素子で注目なのが、シグマ「DP1」「DP2」が搭載する「FOVEON X3」。これは同社デジタル一眼レフカメラ「SD14」にも搭載されているCMOSセンサーで、シリコンの異なる深さに配置された3つの層がそれぞれ青(B)、緑(G)、赤(R)の光を取り込む仕組みとなっているのが特徴だ。そのサイズも20.7×13.8ミリとコンパクトデジカメに搭載されている撮像素子としては格段に大きい(ちなみにデジタル一眼レフで多く利用される、APS-Cサイズと呼ばれる撮像素子のサイズは23.4×16.7ミリ前後なので、それよりは小さい)。
FOVEON X3は原理的に色を補完する仕組みが不必要であるため、解像感に優れ、細部の表現力も高い。ただ、カタログ上には1406万画素と記載されているがこれはRGBそれぞれをカウントした数字であり(カタログには「2652×1768×3層」と記載されている)、実際に得られる画像の解像度は最大で2652×1768ピクセルとなる。この点には留意しておいた方がいい。
レンズについては高級コンパクトというモデルのスタンスが如実に表れている。DP1をのぞく6製品がF2前後からの明るいレンズを搭載しており、また、焦点距離についてもワイド端に強いモデルが多い。また、コンパクトデジカメ全般では倍率10倍近くのズームレンズを搭載する製品も少なくないなか、「GR DIGITAL II」「DP1」「DP2」と単焦点レンズを搭載する製品が多いのもこのジャンルの特徴といえる。
レンズ交換ができないという製品の性質上、光学ズームはあるよりあった方がいいという判断もできるが、単焦点レンズのカメラを手にすると、撮影者がより意図的に動くことになるため、フレーミングの勉強になるという側面もある。
最近ではハイビジョン動画や個人認識、さらには超高速連写など、デジタルであることを前面に押し出した製品も増えているが、今回紹介している製品はいずれも旧来からのカメラ然としたスタイルであることも含め、どちらかといえば逆のベクトルといえる、“カメラ”であることを前面に押し出している。どれを選択しても、写真を撮ることが楽しいと感じさせてくれる製品であることは間違いない。
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