映画ファンのための低価格BDプレーヤー選び(4):本田雅一のTV Style
BDレコーダーをプレーヤーとして使いたいという需要は高く、各メーカーもBD再生に力を入れた製品をリリースしはじめた。では、高画質・高音質という切り口で見た場合、レコーダーはどこまでプレーヤーに近づけているのだろうか?
高画質・高音質という切り口で見た場合、レコーダーはどこまでプレーヤーに近づけているのだろうか。前回紹介した市販BDソフトの再生品位にこだわったソニー「BDZ-EX200」とパナソニック「DMR-BW970」は、それぞれ高級BDプレーヤー並に画質・音質にケアした製品だ。
BDZ-EX200は、BD再生中にチューナー電源を切ってノイズを減らした他、ボディーの構造や電源回路、HDMI出力回路なども徹底的に強化、高画質・高音質方向にふった設計を行っている。加えて、昨年は単なる切り替え式でしかなかった2つのHDMI出力は、音声と映像で分割出力が行えるようになった。しかも、映像と音声はそれぞれに異なるモードで独立して接続が可能で、音声は常に音質がもっともなめらかになる1080/24pで接続される(これまでのHDMIセパレート出力機はすべて、映像側のモードに音声が同期していた)。
パナソニックのようにHDDまでストップさせてプレーヤーに徹しているわけではないが、ここまでやれば結果も期待できそう……と思って試聴を楽しみにしていた。
確かに画質はとても良くなった。以前は輪郭を強調しつつ、部分的には平板な表現に見えるところがあったが、エッジへの処理はほとんど行わず、ディテールを深く描く立体的な絵作りへと変わった。元々持っていたS/N感の良さもキープされており、画質だけならば、高級BDプレーヤーの「BDP-S5000ES」を凌ぐ面もあるぐらいだ。
ただし音質については、何度かの試作を繰り返す中で進化の過程であり、現時点での評価は控えておきたい。発売が11月ということもあり、BDZ-EX200の“音決め”は今、まさに最終段階という状況だからだ。
DMR-BW970については、すでに評価記事が出始めているが、シアターモードと呼ばれる、専用プレーヤーになりきるモードでは、「DMP-BD60」や海外で販売している「DMP-BD80」をしのぐ画質と音質だ。画質は映像処理のフローが大きく変更され、音質はクロックを生成する水晶発振器の精度を高めたことが変更点だが、シアターモードによってチューナーとHDDの両方を止める効果がかなり大きいのだ。
音質を優先するならば、新たに追加されたDeepColorオフのオプションを設定。HDMI出力解像度を1080i、24p出力を「入」にすることで、各コンテンツでの音質が最良になる(画質はデフォルトの方が若干良い)。元々、画質には定評のあったパナソニックのDIGAシリーズだが、上記設定を行った上でシアターモードの再生を行うと、HDMI出力音声は専用機を超える良さを見せる。情報量がたっぷりで音像がしっかりとし、奥行き感のある音を出してくれる。
たとえばわが家のシステムの場合、DMR-BW970と同じくHDMI出力1系統のBDP-S5000ESと比較すると、1つ1つの音の明瞭さはDMR-BW970の方が圧倒的に優れている。音場全体のたたずまいは、さすがに作り込まれたS5000ESが整っているため、総合的にどちらが優れているかは判断しにくいが、どちらで音楽ソフトを再生させるか迷うぐらいに、その品位は近くなっている。
ただし、シアターモード時は予約録画が実行されないという、大きなリスクも背負っている。シアターモード移行時、4時間以内に予約録画が入っていると警告を行う機能もあるが、予約録画数の多い人(2TバイトのDMR-BW970を使うぐらいだから、録画は頻繁に行っているはずだ)は使い方に気をつけた方がいい。
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