通信端末化と多機能化が進む「デジタルフォトフレーム」:デジモノ家電を読み解くキーワード
デジタルフォトフレーム市場の拡大基調が続いている。デジタルカメラの普及を受けたユーティリティーの登場が予想されていたにせよ、これほどまでの規模となるには他の理由も考えられる。今回は、デジタルフォトフレームの最新トレンドを取りあげてみよう。
通信端末化で「写真を直接お届け」
2007年から2008年にかけ10倍という勢いで成長した、国内デジタルフォトフレーム市場。シード・プランニングの調査報告によれば、2009年は落ち着いたとはいえ約4.5倍という高い伸びを示し、参入企業数も増加している。市場の拡大基調は今後も続くとされ、コンスタントな新製品の投入が見込まれる(→参照URL)。
新製品開発競争も激しさを増し、各社はこぞって意欲的な機能・サービスを送り出している。なかでも市場に一石を投じたといっていい製品は、ソフトバンクモバイルの「Photo Vision HW001」だろう(→関連記事)。SIMカード内蔵の受信専用端末としての機能を備えているため、携帯電話で撮影した写真をメールに添付して送信すれば、外出先から指定したデジタルフォトフレームに写真を表示させることができるのだ。従来の製品は、PCにインポート済みの写真を転送するという利用イメージだったが、携帯電話および携帯電話回線をうまく取り入れたことがヒットにつながったと考えられる。
競合各社もその後を追い、ドコモが「フォトパネル 01」を(関連記事)発売。auも2010年6月には「PHOTO-U SP01」を投入する予定だ(関連記事)。
動画再生やタッチパネル搭載など多機能化が進む
デジタルフォトフレームの通信機能強化は1つのトレンドだが、AV機能の強化も見逃せない。2009年1月発売の「DP-1001DW」は、DivX動画の再生や地デジチューナー内蔵というスペックで話題を集めた(関連記事)。
目下開発中の製品だが、NECの「コミュニケーター」にも注目したい。インターネットアクセスや動画の視聴が可能な情報端末という位置付けだが、デジタルフォトフレームとしての機能を備え、しかもタッチパネルによる操作や音声認識機能により画面スクロールも可能という。予定どおりネットブック以下の価格帯で発売されれば、注目が集まること必至だろう。
NECが開発中の「コミュニケーター」。7インチのタッチパネルディスプレイを搭載し、OSはAndroidを採用。無線LAN接続が可能で、インターネット閲覧やAndroidアプリの利用、動画再生、電子書籍の閲覧などが可能。もはやデジタルフォトフレームとは呼べないほど豊富な機能を備える
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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