スタイルと機能のベストマッチ、初の3D対応REGZA「F1」を試す:レビュー(2/2 ページ)
東芝の“3D REGZA”「F1」シリーズは、高級オーディオ「B&O」のデザイナーとして知られるヤコブ・イェンセン氏とコラボレートしたスタイリッシュな液晶テレビだ。そのデザインと機能を詳しくチェックする。
3Dと2Dの画質をチェック
目玉となっているのはやはり3Dコンテンツ対応だろう。4倍速表示によって実現された3D対応は、超解像技術「レゾリューションプラス5」による垂直方向の解像度補完や、視聴環境と映像信号をつねに検知して明るさやカラーマネジメントを自動調整する「おまかせドンピシャ高画質3D」、3D映像特有の映像ボケであるクロストークをバックライト制御で低減する技術など、東芝独自の高画質テクノロジーによって、ボケや暗さを感じることのないよう工夫がなされている。
実際にデモ映像を試聴してみたところ、画面サイズの大きさと超解像技術の恩恵とが相まって、解像度感が高く、かつ明暗ダイナミックレンジの幅広いリアルな映像を堪能させてくれた。とくに解像度感に関しては秀逸で、水平方向の解像度が低い3D映像とは思えないようなシャープさを持ち合わせている。なお、3D表示機能については、後日「SD-BDT1」のレビュー記事でもう少し詳しくお伝えしたい。
一方、2Dコンテンツに関しても解像度感とカラーダイナミックスの進化が多大な恩恵を与えている。「300」では深みのある黒が独特の質感をうまく描き出していたし、「ヘアスプレー」では見事なカラーバランスがさらに自然に思え、シーンによって色合いや解像度感を描き分けている演出までもが如実に感じられるようになった。
動画性能に関しても、4倍速表示によってかなりのスペックアップが見られた。2D映画「WALL・E」冒頭の景観シーンは、画面全体が上下+斜めにスライドするため、液晶パネルにとってはかなり酷な映像となっているが、前時代のパネルに比べるとかなり動きボケが低減され、カクカクとした動きも多少低減されている。さらに進化した超解像技術や、エッジタイプながら色特性の良いLEDバックライトの自然な色合いとも相まって、こと映像クォリティーに関しては、万能選手となりつつある印象だ。
唯一気になったのは、パネル表面のグレア処理による映り込みだ。映像表現的には有利といわれているグレア処理だが、いかんせん明るい部屋では映り込みが多い。もともとある程度照明を落とした部屋で映画を見ることが最大の実力を発揮する傾向があるだけに、こういった仕様がチョイスされたのだろう。使う環境によって、ベストな選択が変わるのは事実だ。
また最新薄型ディスプレイの潮流に呼応して、インターネット機能も豊富に搭載されている。「TSUTAYA TV」や「テレビ版Yahoo! JAPAN」、「アクトビラ」などからハイビジョン映像を見られるほか、インターネットページの閲覧も可能。さらにはDLNA対応によって、別の部屋に置いてあるファイルサーバーから映像や音楽を楽しむこともできる。
このようにREGZA F1シリーズは、単なるデザインコンシャスモデルではなく、実力も兼ね備えた優秀機といえる。性能やデザインについて、まず不満を覚えることはないだろう。悩むべきは設置方法かもしれない。薄さを生かして壁掛けにするか、それではせっかくのしゃれたスタンドの出番がなくなってしまうから、あえてAVラックの上に設置するべきか。もし僕がオーナーになったら、大いに考えてしまうところだ。
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