SDカードの高速転送規格「UHS-II」:デジモノ家電を読み解くキーワード
UHS-Iの登場により最大104Mバイト/秒というデータ転送性能を獲得したSDメモリーカード。しかし、デジタルカメラでの連写など、記憶装置としてさらなる高速性が求められていることも確かだ。今回は、先日発表されたSDカードの高速転送規格「UHS-II」について解説する。
大容量化と高速化というニーズに応える
現在利用されているSDメモリーカードは、一般的に3種のサイズ(SD/miniSD/microSD)と容量とで分類される。そこに「転送速度」という要素が加わったのは、最大32Gバイトという大容量化を実現した新規格「SDHC」が制定されたときだ。
SDHCカードには「スピードクラス」と呼ばれる転送速度の最低保証レートが設けられ、2Mバイト/秒の「Class 2」から10Mバイト/秒の「Class10」まで、2Mバイト/秒刻みで4段階がある(Class 8は存在しない)。SDHCカードの理論上の最大転送速度である25Mバイト/秒対応をうたう製品もあるが、それでも高画素化が進む映像機器でのニーズには応えきれていなかった。
さらなる大容量化を目指し2009年に策定された「SDXC」では、最大2Tバイトと容量が飛躍的に増大する一方で、転送速度の引き上げも図られた。そのための規格が「UHS-I」で、Ultra High Speedに由来する名のとおり、最大104Mバイト/秒という高速なデータ転送を可能とする。
最大転送速度312Mバイト/秒の「UHS-II」
SDカードの仕様策定組織であるSD Associationは、米ラスベガスで開催された「2011 International CES」で、SDカード向けの新しい転送規格「UHS-II」を発表した。最大転送速度は312Mバイト/秒とUHS-Iの約3倍もの水準に達し、2011年第1四半期中にも発表予定の「SD Card Specification Ver 4.0」に盛り込まれる予定だ。同規格準拠のSDカードおよび対応機器は、2012年の発売が見込まれている。
UHS-IIの高速データ転送には、同規格準拠のSDXC/SDHCカードおよびmicroSDXC/SDHCカードに新設される2列目のピンが利用される。カードの物理的な大きさに変更はないが、読み書きにはUHS-II対応のSDHC/SDXCリーダー/ライターが必要だ。
UHS-IIのメリットには、フルHD動画の記録や、高画素写真の連写をスムーズに処理できることが想定されている。対応製品が店頭に現れる時期は当面先だが、より大きな容量と高い転送速度が必要な映像機器の主記憶装置として、またパソコンの外部記憶装置としても存在感が増すことは確実だ。
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