実力が試される薄型テレビ(2)――映像のダイナミックレンジ拡大とは:麻倉怜士のデジタル閻魔帳(3/3 ページ)
前編では、超解像技術の進化について解説してもらったが、この春はメーカー各社がそれぞれに特長のある個性的な製品を相次いで発表している。春の新製品と2010年の市場トレンドについて、AV評論家・麻倉怜士氏に解説してもらった。
もう1つ、パナソニックが3Dプラズマで「クロストークキャンセラー」と呼ばれる機能を採用しました。これは、左右のフレームを書き替える際、液晶が応答しきれないことを前提に、表示する映像に対してクロストークを打ち消す補正をあらかじめかけておくというものです。こちらの効果にも期待ですね。
今年は、おそらくパッシブ方式(偏光メガネを使用)の3Dテレビが出てきますし、秋には大画面のグラスレス3Dテレビも登場する見通しです。また、有機ELパネルを使用したソニーの「3Dグラストロン」(勝手に命名)のようなゴーグル型のディスプレイも出てくるでしょう。3Dを見る手段、環境、技術がより多様化し、ある意味で面白く、ある意味では混乱といえるかもしれません。その予兆といえる動きがこの春は顕著でした。
――画質や3D以外で注目している動きはありますか?
内蔵チューナーの数は着実に増えています。日立コンシューマーエレクトロニクスは、“Wooo”の「XP07シリーズ」に3基の地上デジタルチューナーを搭載し、2番組同時録画を行いつつ裏番組の視聴を可能にしました。東芝“REGZA”のZシリーズも同様ですが、Woooではさらに2番組同時の長時間録画も可能です。
一方、Blu-ray Discレコーダーにも同じ流れがあります。昨年はシャープが2チュナー+スカパー!HD録画で3番組同時録画を可能にしていましたが、今年はパナソニックが3チューナー+スカパー!HD録画の4番組同時録画を打ち出しました。チューナー数は確実に増えています。レコーダーや薄型テレビ内蔵という形で、“全録”に向かっているようです。全録は、これからのテレビを面白くするポイントだと思います。
さらに東芝の「レグザAppsコネクト」、日立の「Woooおすすめ番組」など、録画を支えるネットワークサービスも登場しています。単純に録画番組を増やすのではなく、ユーザーの好みやニーズに合わせた“エアチェックマネジメント”です。
一方、4K2K対応の超解像技術やグラスレス3D、アクティブレンチキュラー技術を採用する3Dテレビなどにも注目です。そしてスマートテレビ。「Google TV」はまた出てきていませんが、タブレット端末との連携など“スマート化”の流れもテレビの方向性として考えられると思います。夏以降は“テレビの新時代”が始まるかもしれません。
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