ハイレゾ音源からWOWOWまで、ヤマハの高級AVセンター「RX-A3020」を徹底活用:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(3/3 ページ)
ヤマハの高級AVセンター「RX-A3020」を自室でじっくりハンドリングする機会を得た。ハイレゾ音源再生からBD、デジタル放送まで、用途の広いAVセンターならではの活用法を紹介していこう。
AVセンターには以前からこうした周波数補正イコライザー機能が搭載されていたが、個人的にはあまりいい印象を持っていなかった。とくに周波数特性の平坦化を目指した「フラット」ターゲットで補正すると、全体の音圧レベルが下がり、音に生気がなくなって、つまらない音になってしまうことが多かったのだ。
しかし、RX-A3020の「フラット」の音は違う。周波数特性上の凸凹を均していってもスピーカーからエネルギー感が損なわれることなく、よりスムーズな音に整えられる印象なのである。これこそYPAOの大きな進化だと実感した。しかも、先述のようにこの「フラット」ターゲットを選ぶと、その部屋固有の初期反射音のクセをキャンセルした上で周波数特性を整えてくれるわけで、狭小空間にホームシアターを構築し、定在波の悪影響でブーミーな低音に悩んでいる方は、このPEQの有り難さをいっそう強くお感じになるのではないかと思う。
そして最後に、ジョイフル♪ノイズをシネマDSP再生してみる。この場合、2基のサラウンドバックスピーカーからはサラウンドL/R信号がパラレルに再生されることになる。RX-A3020に用意されたシネマDSPモードは、「Stanndard」「Spectacle」「Sci-Fi」「Adventure」「Drama」「Mono Movie」の6プログラム。それぞれのプログラムで音場のサイズが面白いように変化していくが、どのモードで聴いても、昔の製品のように響きに強い違和感を覚えることはなかった。自動音場補正機能YPAO R.S.C.の、再生空間に応じてシネマDSP効果を最適化する「DSPエフェクトレベルノーマライズ」機能がほどよく効いていることもあるのだろう。
6プログラムそれぞれの響きによる音場サイズの違いを楽しみながら、最終的に「Drama」を選択して「ピュアダイレクト」と比較しながらジョイフル♪ノイズ全編をもう一度観直してみたが、率直にいって「Drama」モードで観るほうが断然楽しかった。ひびきが360度方向にきれいに広がりながら、映画を構成するD.M.S(ダイアローグ、ミュージック、サウンドエフェクト)がスクリーン上にすっと集束していく絶妙な感覚が味わえるのである。なるほどこれは面白い。スピーカーが消え、映画の中で繰り広げられている出来事が、実際に今眼前で起こっているかのように感じられる精巧なイリュージョンの世界が楽しめるのだ。
30年以上に渡って実測してきた世界中の名ホールの反射音をきめ細かくファインチューニング、シネマDSPの完成度を高めてきたヤマハ開発陣の真摯(しんし)な努力が、今RX-A3020で大きく花開こうとしている。そのことが強く実感できた試聴だった。
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