「ルンバ」に何が起きたのか?――吸引力5倍、清掃能力50%向上の秘密:滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/3 ページ)
新製品の「ルンバ 800シリーズ」は、吸引力5倍、清掃能力50%向上という大きな進化を遂げた。ライバルたちを尻目に、次の段階に進んでしまったような印象さえ受ける。ルンバに、いったい何が起きたのか? 米iRobotの開発者を直撃した。
「どんなものでも商品に搭載されているものは、そのコストに見合うだけの意味があるものでなければなりません。ルンバの存在意義はゴミを掃除すること。クリーニングヘッド部分ができるかぎり、床面に広範囲に渡って接触することだと思います。サイドブラシはあくまでも壁際とかコーナーのゴミをかき出すもの。実際にルンバのプログラムで、エッジフォローウィングさせるのは実は右側面だけと決まっています。だから逆側にブラシは付けないのです」。
では、ほかのロボット掃除機で採用例のあるマッピング(部屋の地図作成)機能やスマートフォンとの連携機能はどうか。実は2011年に「ルンバ 700シリーズ」を発表した際、iRobotのCEO、コリン・アングル氏は「掃除力の向上に関係ないものはつけない」と話していた。その後、家電のスマート化は加速度的に進んでいるが、iRobotのスタンスは今も変わらないのだろうか。
「将来的な技術開発などについては私からコメントできませんが、弊社は世界一のロボット開発ができるエンジニアがそろっています。執事ロボット『AVA』などは最先端の認識ナビ機能、新しいテクノロジーはもっているので、仮にルンバにスマート家電的な機能を搭載しようと思えば、いつでもできます。ただ、はたして掃除ロボットに、本当にお客様はそういった機能を求めているのでしょうか? 掃除ロボットと会話したり、掃除ロボットを通じて、遠隔で部屋の様子を見たいでしょうか? また、短距離走でもないのに、直線的なパターン化された動きで、短時間で掃除が完了することに、なんの意味があるのでしょうか」
あくまで本質的な“掃除”にこだわるiRobot。だからこそ、店頭でみつけた時には、まずはチェックしてほしい。世界50カ国で1000万台以上も売れている世界ナンバー1ロボット掃除機のルンバが指し示す、最先端のロボット掃除機の今を。
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