ハイレゾは脳のビタミンです!――カジュアルな本格派、デノンのデスクトップUSB-DAC「DA-300USB」:潮晴男の「旬感オーディオ」(2/2 ページ)
デノンの「DA-300USB」は、コンパクトにして高性能なかわいい製品である。小さくても凝縮感のあるものが好きなぼくは、このDACを見て、とても気になった。
良い意味で聴きやすくなるDAC
ダイアン・シューアのニューアルバム「アイ・リメンバー・ユー」からジョージ・ガーシュインの作となる「ス・ワンダフル」を聴いてみた。シナトラやスタンゲッツに捧げたこのアルバムは30年のキャリアを誇る彼女の持ち味がたっぷりと引き出されているが、レコーディングのパフォーマンスはいまひとつかなぁ。曲によっては高域にかけてやや硬質な印象なので、あまり能力の高くないオーディオシステムでこのCDを再生するとシンバルのレガートがノイズっぽく聴こえる。そうした意味では製品のチェックに最適なソフトといえなくもないが、ファンならそんな使い方はしませんよね。
ところが「DA-300USB」で再生すると、ゆったりとした感じが伝わってくる。タイトな感じは残っているが、ボーカルの芯の強さを失うことなく良い意味で聴きやすくなるのだ。
このモデルは縦置きでも横置きでも使える。縦置きには付属のスタンドを用いるようボディにガイドが設けられている。こうすることでスペースファクターは高まるが、比較してみると横置きの方が音質的には有利だった。もっともこの場合インシュレーターを底部に敷くことが条件になるが、こうした要素を満たせば音の輪郭がはっきりとして全体に締まった音になるので、気になる人はぜひ一度試してみてほしい。
またこのモデルには専用の高性能なオペアンプが組み込まれヘッドホンアンプとしてもその役割をしっかりと果たしてくれる。シュアの「SRH-1840」で試聴してみたが、こちらは爽やかで溌溂とした音を聴かせた。
コンパクトだがその姿形に見合わぬパフォーマンスを備えた「DA-300USB」の使い方はさまざまだが、個人的にはUSBメモリーの再生機能も加えてほしいと思った。次期モデルではそんな願いをぜひとも叶えてほしいものである。
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