酒を飲ませて20年放置すると音が変わるスピーカー?:オーディオ&ホームシアター展2015
JVCケンウッドが「オーディオ&ホームシアター展」で、2つの新しいウッドコーンスピーカーを参考展示。どちらも素材が持つ可能性を広げる試みだ。
JVCケンウッドは、東京・お台場で開催されている「オーディオ&ホームシアター展」で、2つの新しいウッドコーンスピーカーを参考展示した。ウッドコーンは、その名の通り“木”そのものを振動板の素材にしたスピーカー。展示機は、どちらも素材が持つ可能性を広げる試みだという。
JVCのウッドコーンスピーカーは、厚さ0.28ミリのカバ材をプレス成形して作られるが、プレス時の“割れ”を防ぐため、事前に潤滑剤となる“日本酒”に浸すという話はオーディオファンの間では有名だ。この潤滑剤の発見がウッドコーンの実用化につながったという。
そして今回の参考展示は、酒に浸して成型した後、およそ20年分の経年変化を人工的に再現したというもの。「年代物のヴァイオリンの中には製作直後より何十年、何百年も経ったほうが評価が高いものがある。ウッドコーンも年月を経たほうが音が良くなるのではないかと考え、試しに作ってみた」(同社)。
JVCでは、その音を耳の肥えたオトテン参加者に聴いてもらい、結果が良ければ製品化も考えたいと話している。同社ブースでは定期的に通常のウッドコーンとの“聴き比べ”を行っているので、耳に自信のある方はぜひ。
もう1つの参考展示は、デスクトップ用の「プライベートウッドコーンシステム」だ。同社は2003年の初代機「EX-A1」以来、ウッドコーンによるフルレンジ再生にこだわってきたが、今回は直径3センチという小型振動板を使い、ニアフィールドリスニングに適したスピーカーを開発した。
振動板だけではない。キャビネットはカードサイズだが、ほかのウッドコーンスピーカー同様、内部にはしっかりと響棒が設けられているほか、振動対策を施したアンプや机上の反射音を軽減する専用スタンドも一緒に開発した。
そのサイズは一般的なPC用スピーカーに比べても小さいが、音はなかなか。「理想的な点音源に近く、指向特性が広いため音場表現が豊か。音像定位も抜群」という言葉にも頷ける。なお、今回は展示されなかったものの、このシステムに追加する14.5センチウッドホーンも開発しているという。
広帯域化の課題であった高域再生を行うため、帰還アンプのゲイン配分などを再検討。バランス動作させた上、ループゲインをより高域まで広げたことで帰還量が増え、広帯域化とともに低ひずみ化を実現したという。ひずみ率は従来の半分程度になるという
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