あえて言おう、「全自動掃除機」であると――コスパの高いロボット掃除機「ルンバ654」(2/2 ページ)
「ルンバ654」は、10月にリリースされた新しいエントリーモデル。直販価格で5万4000円とルンバの中ではかなり低価格だが、スケジュール機能を搭載するなど機能面は向上している。自宅で使ってみた。
忙しく動き回る働き者
今回、「ルンバ654」に掃除してもらうのは、12畳ほどのリビングダイニングルーム。床はすべてフローリングだ。横に6畳の和室もあるが、ちょうどコタツを置く準備をしているのでルンバには入ってほしくない。でも襖は背もたれにしていたせいで歪んでしまったようで、悲しいことに全く動かない状態だ。そこで付属品の「バーチャルウォール」を境界線に置く。
「バーチャルウォール」は、赤外線でルンバに存在を教え、その周囲半径30センチほどにルンバが立ち入らないようにする。また、中心から見てステータスLEDのある方向(矢印)に約2メートルの見えない壁を作り、ルンバがその先に行かないようにする。今回のように部屋を仕切る用途のほか、例えばペットのエサ皿や洗濯物の山など、ルンバに近づいてほしくない場所に設置すればいい。
リビングスペースにはエレクターで組んだAVラックがあり、下部はわざとスペースを空けている。もともとホコリのたまりやすい床を掃除しやすいようにと配慮したものだが、幸い10センチ以上の高さがあるため、最近ではルンバに任せっぱなし。人が掃除するときは床に這いつくばって掃除機の先端を奥に突っ込むか、重い大画面テレビを載せたラックを引き出す必要があって面倒だが、そんな場所でもルンバは文句ひとついわずに掃除してくれる。なんともありがたい。
もちろん、ルンバにも掃除できない場所はある。ルンバが掃除してくれるのは床のみで、また自分より幅の狭い場所にも当然入り込めない。ルンバ654の最大幅は約34センチなので、それ以下のスペースは掃除の対象外だ。逆に幅や高さが自分より少しでも大きければ、果敢に突入する。ちょっと心配していてマッサージチェアの裏側もきれいにしてくれた。なお、こうした電化製品の周りを掃除するときは、事前にコードなどが床に這っていないかチェックしておきたい。
掃除にかかった時間は約25分間。ルンバはスタート地点に戻り、電子音で終了を宣言する。その間、人は別の部屋でお茶を飲んでいてもいいし、外出していてもいい。ルンバを購入するということは、面倒な床掃除の手間を省くとともに、毎日数十分の自由時間を得るということなのだから。
メンテナンスも忘れずに
忘れてはいけないのが、ルンバにはもう1カ所、掃除できない場所があるということだ。それはルンバ自身。ダストビンに溜まったゴミを捨てたり、ブラシに絡まった髪の毛や糸くずを取り除くといったメンテナンスは欠かせない。
「ルンバ654」のゴミ捨ては簡単。天面のボタンを押しながら後方に引くとダストビンが外れる。ここにはモーターが入っているため、水洗いは厳禁だ。なお、地味な部分だが、「ルンバ654」ではダストビン内に入っているフィルターが従来機より大きくなり、集じん性能が向上している。
底面には、ゴミを吸引口へかき込むためのブラシが2本、そして側面からゴミを集める「サイドクリーニングブラシ」が1本ある。回転するブラシには長い髪の毛などが絡まりやすいので注意だ。吸引口のブラシは道具なしでも取り外しが可能。外したらブラシの並び方に沿って付属の「クリーニングツール」を滑らせれば絡んだ髪の毛をまとめてカットできるのは便利だ。
ロボット掃除機では、“メンテナンスのしやすさ”も重要な性能。上位機にはメンテナンスそのものを減らすための機能――例えば髪の毛などが絡みにくい「エアロフォース・エクストラクター」なども採用されている。エントリーモデルの「ルンバ654」にそうした付加機能はないが、一方で過去十数年にわたって蓄積してきたノウハウは、本体や付属ツールなどにも生きている。それを低価格で享受できる「ルンバ654」は、やはりコストパフォーマンスの高いロボット掃除機だろう。
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