4K大画面で味わう「火花」の臨場感と面白さ:山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)
「NETFLIX」で配信されている話題のオリジナルドラマ「火花」を3日間かけて一気に観た。当方の予想を上回るチャーミングな演出に触れ、心を完全につかまれてしまったのだ。
日本市場での飛躍を目指し、手間隙かけて丁寧に仕上げた長尺オリジナルドラマに果敢に挑戦するNETFLIXという配信メディアの志の高さに敬服するとともに、地上波の安逸なドラマ化に与せず、まだ海のものとも山のものとも知れない動画配信サービスのハイクオリティー映像に賭けた、吉本興業(製作)の英断にも拍手を送りたいと思う。
こういう質の高い4K動画の魅力が満喫できる作品が増えれば増えるほど、4K大画面テレビの存在意義が高まっていくことは間違いないだろう。また、先述のように本作品はすでに世界190カ国で配信されているというが、日本独得のお笑い文化とその感性がどのように受け入れられるのか、それも非常に興味深い。
Blu-ray Discの災難
などと言いながら、つい先日、学生時代の友人と話をしていてグッタリした気分になったことがあった。ついに58V型の大画面4K液晶テレビを買ったその友人は、「地デジやBSのスポーツ番組などは画質も良くて大画面の迫力があって満足しているんだけど、映画の画質が粗くて良くない!」と言い張るのである。
ん? と思い、「おまえ、ひょっとしてDVDを見て文句言ってるんじゃ?」と聞いてみると、「そうだよ。おれ映画好きだからすごいいっぱいDVD借りてきて観てるんだ」と胸を張るのである。どうやらWOWOWにも入っていないし、Blu-ray Discの存在もうっすらとしか知らない様子。NETFLIXの4K動画配信サービスの話などしても「なにソレ?」的反応。
うーむ。日本列島にはこういうAV&IT リテラシー皆無の五十男がたくさんいるのだろうか。しかし、金を払ってわざわざ借りてくるDVDの画質が、無料で見られる2KのBSや地デジ(これは1.4Kか?)よりも劣るということは、はっきり分かるらしい(当たり前か)。
しかし、Blu-ray Discが登場して10年も経つのに、今なお映画を地デジよりも低画質のDVDで借りてくるという「習慣」がすたれないのはいったいどういうわけか? アナログ停波で多くの国民がフルHDテレビに買い替えた5年前の騒乱時に、なぜビデオソフト業界はDVDからBlu-ray Discに一気にシフトアップしなかったのか……。
そういえば、好きなミュージシャンの新作CDを買ってみたら、付録(?)としてライブ映像がDVD に収められていることがたまにある。実際にそのDVDを再生してみれば(当然ながら)、すべてアスペクト比16:9のHDカメラ収録。ここはどう考えてもBlu-ray Discでしょう。
「いやいや普通のヒトは観られればいいんですよ、画質なんて関係ない」と講釈してくれる人もいるが、せっかく買った大画面4Kテレビで、いい画質で映画や音楽コンテンツが観たいというのも人情だろう。現に4Kテレビで観る映画の画質が悪いとワメいている五十男が、ぼくの周りに存在しているのだから。ああ、しかしなぜDVD ……。
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