ボタン1つで好みの音楽が流れ出す――ボーズの「SoundTouch」が「Spotify」と連携
ボーズは、ネットワークスピーカー「BOSE SoundTouch 10/20/30」に、音楽配信サービス「Spotify」(スポティファイ)との連携機能を追加する。Spotifyとの共同開発により、サービスと製品をシームレスにつないだ。
ボーズは11月1日、ネットワークスピーカー「BOSE SoundTouch 10/20/30」に、音楽配信サービス「Spotify」(スポティファイ)との連携機能を追加すると発表した。2014年に誕生したSoundTouchシリーズは現行モデルが3世代目にあたるが、初代機からアップグレードが可能だ。同社マーケティング本部の橋本理智氏は、「音楽メディアのデジタル化が進み、リスニングスタイルは変化している。オーディオ製品もいち早く対応して付加価値を与えなければならない」と話している。
ボーズとSpotifyの共同開発により、サービスと製品をシームレスにつないだ。具体的には、Spotifyの専用アプリからSoundTouchスピーカーを操作できるほか、逆にボーズのアプリ「SoundTouch app」からSpotifyの楽曲やアルバム、アーティスト、プレイリストを素早く検索して再生できる。2つのアプリは相互に同期しているため、アプリを切り替えても中断した時点から操作を再開できるという。
中でも注目は、SoundTouch appの「プレイリストジェネレーター」機能だろう。ユーザーは音楽ジャンルとその時の気分(楽曲のテンポ)、曲数を指示するだけでプレイリストが作られる。Spotifyといえば、ビッグデータ解析をはじめ、音楽の属性やユーザーの視聴履歴なども参照する「独自の複雑なアルゴリズムで“ずばりオススメ”するプレイリスト」(スポティファイジャパンの玉木一郎社長)で支持を集めているサービスだ。SoundTouchシリーズであれば、それを手軽に活用できるという。
お気に入りのプレイリストを登録しておき、ワンタッチで呼び出せる機能もある。SoundTouchシリーズは、本体の上部にお気に入りの楽曲やインターネットラジオ局などを登録できる6つの「プリセットボタン」を備えているが、ここにSpotifyのプレイリストを割り当て、「スマホなしでも好みの楽曲が再生できる」という仕組み。登録作業もSoundTouch app上でプレイリストをドラッグ&ドロップするだけで済む。
Spotifyの楽曲を家中で楽しむこともできる。Spotifyは“1アカウント1デバイス”が基本のため、通常は2つ以上のデバイスで同時に利用することはできない。しかしSoundTouchシリーズのマルチルーム再生機能は例外。SoundTouch appで「一斉再生」を指示すると、家の中にあるSoundTouchシリーズが同じ楽曲を同時に再生する。
なお、これらの機能を使うためには、月額980円の「Spotify Premium」プランに加入する必要がある。無料の「Spotify free」の場合、Bluetoothあるいはアナログ接続によってSoundTouchシリーズを外部スピーカーとして利用することはできる。
ビジョンを共有しているから一緒にやる
ボーズと協業した理由について、Spotifyの玉木社長は、音楽産業全体が抱えている“悩み”を挙げた。それは音楽好きの人は多いものの、スマートフォンなどで音楽を聴くモバイルユーザーが多いことだ。玉木氏は、「モバイルユーザーの視聴環境はヘッドフォンやイヤフォンが中心で、空気を揺らすような音の体験はあまりしていない。一方でホームオーディオユーザーはどうしても自分のCDライブラリ(=購入した高音質音源)に偏りがちだ」と指摘する。「モバイルユーザーにも良い音を楽しんでほしい。一方のホームオーディオユーザーには、ストリーミングであることをあまり意識せず、新しい音楽との出会いの場を活用してほしい」
今回の発表でボーズとSpotifyは、モバイルユーザーが親しんでいる“簡単さ”をホームオーディオに持ち込み、ボタン1つで“Spotifyの世界”を体験できるようにした。「ネット接続を意識せず、ストリーミングをより良い音で楽しめる。オーディオのIoT化こそが解決策だ。これを追求することが音楽ファンを育てるカギになると思う」(同氏)
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