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» 2007年04月26日 21時52分 公開

減収減益だが数年後には、ネット業界のトップを狙う――カブドットコム

個人投資家の動向が、収益に大きく影響するネット証券。減収減益となったカブコムだが、MUFGのブランド力を背景に営業力を強化していく構えだ。

[土肥義則,Business Media 誠]

 カブドットコム証券は26日、2007年3月期の決算を発表した。新興市場の低迷によって、個人投資家の売買手数料が振るわず、純利益は対前年同期比で2ケタの減少となった。さらに夜間の私設取引システムの先行投資や、Meネット証券の合併費用もかさみ、最終利益を押し下げた。ただ、決算会見に出席した齋藤正勝社長は「先行投資は終わり、今年度は“刈り取り”を始める」と意欲を示す。

 個人の売買手数料が前期比でマイナスというなかで、純営業収益は前期並の数字を確保。昨年9月から連続して、対前年同期比の手数料が減少しているなかで、前期の水準に達したのはなぜか。同社のメイン顧客は、他社と比べシニア層が多い。そのため「他社と比べると、取引数が安定していた」と齋藤社長は分析する。たしかに50歳以上のシェアは拡大しており、約半数を超えているのが同社の強みとも言える。シニア層が多いということは「デイトレーダーのような、パチンコ感覚で取引を繰り返す顧客が少ない」という理由も挙げ、収益面で大きな減少にならなかったという。

「2009年の株券電子化は“第二次世界大戦”のような競争が始まる」と齋藤正勝社長

 金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は大幅に伸ばした。日本格付研究所から格付け(BBB+、安定的)を取得したため、調達コストの削減が要因。またMUFJの連結子会社化になり信用力が増したことも、資金調達のコストを引き下げているようだ。格付については「今後も上がっていくだろう」と強気の姿勢を示している。

株券電子化の2009年には、一番安い手数料にする

 口座数は同18%増と、堅調に推移している。ただ、「ネット証券の口座数は限界に近づいている」という声がある一方、「まだまだ浸透していない。口座を伸ばす余地は十分に残っている」との見方もある。どちらに傾いても対応できるように、新たな戦略が求められるだろう。

 同社にとっては、MUFGグループに仲間入りしたことが強みだ。すでに証券仲介サービスを開始したほか、今後はMUFG内に「カブドットコム支店」を開設。さらにMUFGとタイアップした商品を提供していく予定だ。

 同社は昨年9月に、三菱UFJ証券と業務提携を結んだ。第3四半期からは、新規公開株と公募・売出の取扱件数がネット証券のなかでトップとなるなど、グループ化のシナジー効果が出始めている。

 ネット証券各社が預り資産に苦戦しているなか、同社のみが微増。なかでも投資信託の預り資産は約2倍に増えた。手数料が無料化または割り引く「ノーロード投信」が人気を集めており、同96%増加した。銀行では投信の販売が好調だが、ネット証券では伸び悩んでいる。その要因として「対面販売ができないのが大きな理由」(業界関係者)という指摘もある。投信の販売が好調な理由として齋藤社長は「シニア層の顧客が多い」ことと「MUFGの影響が強い」と、複合的な要因があると分析する。

 ネット証券のなかで同社の手数料は高い。手数料の引き下げについては「高いということは、まだ下げる余地があるということ。株券電子化の2009年には、本当の競争が始まる。今は体力を蓄える時期」と現時点においては、手数料を引き下げない方針を示した。しかし、第2フェーズの戦いが始まれば、「1番安い手数料にする」と断言し「中・長期的にはネット証券でトップを狙う」と宣言した。

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