モバイルでないとリーチできない層がある――シーエー・モバイル 向井克成氏EC最前線インタビュー(2/3 ページ)

» 2008年07月03日 19時00分 公開
[吉田卓司,Business Media 誠]

携帯サイト16ショップで、年商53億3千万円

吉田 (規模が)大きくなれば注目されますし、その分だけブランドの観点や顧客配慮、社内の意思決定など制約も大きくなりますよね。現在、コマースはどれくらいの売上ですか?

向井 2007年9月期で53億3千万円ですので、月商にして約4億5000万円規模です。

吉田 いくつかECサイトをお持ちですよね。各ECサイトの内訳はいかがですか?

向井 16のショップを持っていますが、中でも総合ショップ「ONE☆FESTA」が一番大きく、売上の半分以上を占めています。

3キャリアで展開している「ONE☆FESTA」。シーエー・モバイルが展開するモバイルECショップの中でも最大のサイトで、若い女性をターゲットにさまざまな商品を販売している

吉田 サイトの運営体制について教えてください。

向井 ONE☆FESTAは、委託している倉庫経由の出荷が中心に、他のサイトは仕入先から出荷する形が中心になっています。

吉田 物流は自分で作られたのですか?

向井 もともと私は三菱倉庫という会社にいましたので、物流に関する基本的な知識はありました。とはいえ、その頃はt(トン)単位の仕事しかやったことがなかったので、ずいぶん勝手は違いましたが。物流会社の選定は、上場会社という基準で選んでいましたが、やはりコストやベンチャービジネスであることなどを考えると大手企業では無理でした。今はカインズ商配さんと組んで配送しています。

F1層を対象にダイエット商品を売り続けたが……

吉田 商品やお客様はいかがでしょう?

向井 顧客はF1層が7割で、現在は1万品目以上扱っております。毎月2000点の新規アイテムを投入していますね。

吉田 それはすごいですね。最初からそれだけ品揃えをされたのですか?

向井 いえいえ、昔はダイエット関連の商品がダントツで多く、まるでダイエット専門店のような商品構成でした。実際、利益率の高い商材でもありましたので、明けても暮れても「ダイエット」「ダイエット」(笑)。ある時、「買う側も売る側も飽きが来ているのでは? と感じました。それで色々品揃えを増やして、今のONE☆FESTAのような品揃え※になったのです。

吉田 どんな商品が売れ筋ですか?

向井 ダイエット・美容関連では、昔はサプリメントなど口に入れる商品が多かったですね。今はシーズンにもよりますが、器具や着るものも大分増えてきています。家電やファッション関連など、その他の商品も動いて(売れて)います。

※ONE☆FESTAでは香水のほか、家電、ダイエット・美容商品、化粧品、ブランド品、衣料など、幅広い商品を扱っている

売上アップの秘訣は?

吉田 モバイル業界でも、メディアを持っている会社がEC事業をスタートする事例はこれまでも多数ありました。しかしその中でも御社は、突出して成功していると思います。ずばり、成功要因は何だと思われますか?

向井 早くスタートし、止めないで頑張ってやり続けたことですかね(笑)

吉田 それはOisixと一緒です(笑)。「とにかくあきらめずに粘る。そうしたら時代が来た」という感じですか?

向井 当時はメディアを持っていて、ECのノウハウがなかったので、どこか他社と組んでECを行うという選択肢も十分ありえたわけです。でも当時そんな発想を全く持たず、「自分たちは物を売るのだ」と疑問を持たずに突っ走ってきた結果ですね。

吉田 もう少し具体的に、売上成長の施策を教えてください。

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