仕事ができる同世代の社長に、投資術を聞いてみた分散投資特集インタビュー(1/2 ページ)

» 2008年09月18日 00時15分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 株式を買ったことがある人であれば分かるだろうが、やはり「株価」は気になるもの。しかし仕事のあるビジネスパーソンが日中、株価ばかりに気をとられているわけにはいかない。クルマの両輪にたとえるなら、投資と仕事――この2つのバランスをとって、健全なお金との付き合いをしなければいけない。

 投資と仕事をうまく両立させているビジネスパーソンは、どのような日常を送っているのだろうか。厳しいビジネスの世界で活躍し、さらに投資のリスクにも挑む――。ここではそのような人物を2人紹介する。

経済を理解するために証券サークルに入部

オーシャナイズの筒塩快斗社長

 コピー用紙の裏面にカラー広告を掲載することで、コピー料金を無料にするサービス「タダコピ」を運営する、オーシャナイズの筒塩快斗(つつしおかいと)社長。大学では経済の勉強をしてみたいと思ったらしい。「しかし授業を受けても、経済のことがよく分からなかった。少しでも経済のことを理解したかったので、証券サークルに入部。そこで株に興味を持ち、すぐにハマッてしまった」

 証券サークルに入部したときは、投資に関する知識はまったくなく、とりあえず証券会社で口座を開いた。親から借りたお金とアルバイトをして貯めた資金で、最初は鉄鋼会社の株式を購入。大学1年生(2003年)の7月のことだった。

 筒塩氏が投資を始めたころの日経平均株価は1万円を割っていたが、その後は好調に推移。そして、初めて購入した銘柄も上昇していった。「株を始めたころは、なぜ株価が上がるかすら分からなかった。しかし『これではダメだ』と思い、基礎的なことから勉強を始めた」

 その後も保有していた銘柄の株価は上がっていくが、なぜか筒塩氏の投資熱は冷めていく。「1日で株価がこれだけ上がった、これだけ下がった、といったことを考えるのが面白くなくなっていった」

 筒塩氏の気持ちを変えさせたきっかけは、ある人たちとの出会いだった。ひょんなことからベンチャー企業の社長が集まる会に出席したところ、「日本を変えてやる!」「このサービスを社会に普及させたい!」など夢を語る人たちがたくさんいた。彼らの“声”は、筒塩氏にとって衝撃であった。「自分も何か事業を起こすことはできないだろうか」そう考えた筒塩氏は、友人らと一緒にビジネスのアイデアを練る。そして大学2年生の1月、タダコピのアイデアが生まれた。コピー用紙の裏に何かを刷るというアイデアは10年ほど前からあった。「しかしタダコピはターゲットを絞って、大学の構内に設置することにした。そうすることによって広告の価値があるはず、と思ったから」

 そして大学3年生の10月にNPO法人が主催するビジネスコンテストに参加し、優勝した。翌11月に「オーシャナイズ」を設立。短期間で事業を立ち上げたものの、半年間の売上はゼロ。2坪ほどの事務所を構えていたが、水道と電気を止められた。「なかなか大学ではコピーの設置許可がおりなくて、本当に苦労した。1台目のコピー機を置くことができたのは、創業してから数カ月後のこと」。何度も何度も大学に足を運び、ようやく認知も広まり、今では全国45大学、72台(9月12日現在)のコピー機を設置している。

あくまで仕事が基本、投資のバランスは難しい

 筒塩氏は毎日、終電で帰宅する忙しい生活を送っており、日中に相場を見ることはできない。しかし「学生時代に始めた株の売買は、現在の仕事に役立っている。会社の決算内容を分析することができるようになったり、つねにさまざまな情報が気になったり、株式投資を続けているメリットは大きい」

 忙しい生活を送っている筒塩氏だが、どのように仕事と投資のバランスをとっているのだろうか。「あくまで基本は仕事なので、バランスをとることは難しい。しかし株を購入すれば、基本的には売らないというスタンスなので、株価に一喜一憂することはない」と話す。また銘柄選びにおいては、業績がしっかりしていることと経営者の考えに“共感”できるか、なども重視しているという。

 筒塩氏は金融資産の90%を株式投資にあてており、株式のすべてが日本株だ。ただ日本株だけだとポートフォリオが偏っているので、現在は海外株やFXなどにも興味があるという。また今後の仕事については「日本だけの事業展開にとどまらず、世界にも展開していきたい」という夢を持つ。筒塩氏にとって仕事と投資、その両方で“世界”に目を向けているようだ。

筒塩快斗(つつしおかいと)氏のプロフィール

1983年6月埼玉県生まれ、25歳。2005年10月、慶應義塾大学在学中にビジネスプランコンテスト「TRIGGER2005」に無料コピーサービス「タダコピ」で出場し優勝。同年11月、現取締役とともに株式会社オーシャナイズを設立。2006年4月に慶応義塾大学と法政大学で「タダコピ」サービスを開始。2008年3月慶應義塾大学経済学部卒業。現在は、首都圏の大学を中心に全国約70カ所でサービスを展開中。


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