雇用環境はさらに悪化? 4社に1社が“従業員減らし”

» 2009年01月09日 13時26分 公開
[Business Media 誠]

 景気後退を理由に“派遣切り”などを行っている企業が増えているが、従業員の削減状況はどうなっているのだろうか。2008年末までに「正社員」「非正社員」のどちらか、または「両方」を削減した企業は1万731社中1649社(構成比15.4%)に達していることが、帝国データバンクの調査で分かった。また2009年以降、削減を検討している企業を見ると、同2399社(22.4%)と、さらに増加傾向にあるようだ。

 この結果、景気後退を要因として従業員を削減した(検討している)企業は計2890社(26.9%)と、4社に1社は雇用調整を行う見込み。帝国データバンクでは「雇用環境の悪化が深刻さを増していくのは避けられない」としている。

 雇用調整の実施(検討)を業界別で見ると、特に「製造業」(1107社、35.7%)が目立った。雇用形態による違いは大きく、「非正社員」(950社、30.7%)が「正社員」(611社、19.8%)を大幅に上回っている。また自動車関連の動向を示す「輸送用機械・器具製造」の雇用調整も悪化しており、「非正社員」(53社、57.0%)は「正社員」(20社、21.5%)を大きく上回った。

従業員の削減(検討)状況(出典:帝国データバンク)

 従業員の削減を実施した企業からは「売り上げの減少が大きく、雇用が確保できない」(ネジ製造、静岡県)、「業務量の急激な減少で、背に腹はかえられない」(無線通信機器製造、栃木県)など、「業績の急速な悪化で企業の存続のためにはやむを得ないという悲痛な声が多数挙がっている」(帝国データバンク)

 一方、2008年末まで「削減はない」という企業は、「正社員」で8566社(79.8%)、「非正社員」で5985社(55.8%)。しかし2009年以降「削減する予定はない」という企業は「正社員」で6688社(62.3%)、「非正社員」で4253社(39.6%)と2008年末と比べ、それぞれ17.5ポイント、16.2ポイントの減少。

 削減する予定のない企業からは「すでにこれ以上削減できないくらいの人員になっている」(呉服・服地小売、北海道)など、ぎりぎりの人員でやりくりしている企業が目立った。また「決して多くない給料で頑張ってくれている社員を大切にしたい」(出版・印刷、大阪)といった企業もあった。

 調査は2008年12月17日〜2009年1月5日まで、2万455社を対象に実施し、1万731社から回答を得た。

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