報連相ができない組織、できてもダメな組織(1/2 ページ)

» 2009年09月16日 08時00分 公開
[川口雅裕,INSIGHT NOW!]

著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

1988年リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。人事専門誌・業界誌・一般誌などにも人事関連分野で多く取り上げられていただき、ラジオ番組のレギュラーを持っていたこともあります。京都大学教育学部卒。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 若手時代に叩き込まれることの代表格は、マナーと並んで「報連相(報告・連絡・相談)」。ただしこれは、若い人たちにとってそう簡単なことではありません。1つには、報連相をする対象としての関係者に対する理解が浅いから。2つ目は、状況変化など起こっているコトの軽重を判断しにくいからです。

 担当している仕事のこれまでの経緯や、社内外の関係者、それはどのような人達で……、という理解をしていればしているほど報連相をしやすくなるわけですが、これには一定の期間や経験が必要で、「報連相の技術」を学べば良いという問題ではありません。同様に、コトの軽重に関する判断力を高めるにも経験が重要で、効果的な報連相ができないのは、彼ら若手社員にとってある程度仕方のないことと言えます。

 しかしながら、彼らが「報連相」をできない理由はもう1つあります。それは彼ら自身の問題ではなく、組織に「報連相を通じて仕事や職場を良くしていこう」「報連相によってより大きな成果を上げよう」という意識が低下してきていることです。具体的には、次の3つの意識が低下した組織には、報連相が生まれにくく、若手もそれにならっているだけと考えられます。

 1つ目。職場の業務改善の意識が低ければ、済んだことを流す人が多くなって「報告」という言動が減っていきます。

 2つ目。職場に協働するという意識が低ければ、状況・情報を専有する人が多くなって「連絡」という言動が減っていきます。

 3つ目。職場の納期意識、特にクオリティーに対する意識が低ければ、こだわらない人が増えてきて「相談」という言動が減っていきます。

 このようなカルチャーにおいて、若者にだけ「報連相は大事だ」「報連相をしろ」と強要するのはかわいそうというもの……と感じます。「報連相ができない……」とお嘆きの経営者は多いと思いますが、解決策は報連相の技術を学ばせることではなく、カルチャーの見直しかもしれません。

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