キャリー取引の手仕舞い売りや円高を嫌気した売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月18日 16時23分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったこともあり、売り先行で始まり軟調となりました。一時大幅下落となるなど週末の手仕舞い売りもかさんだものと思います。日銀金融政策決定会合の発表があったこともあり、金利が低下したにもかかわらず、円高が進み、上値を押さえる要因となりました。米国市場と同様に「キャリー取引」解消の動きで買わせた円高、株も安いということなのだと思います。円高にもかかわらず輸出株が高い、などというのもキャリー取引解消に伴う買い戻しと見られます。

 米国株が大幅安となったわりには底堅いといえるのですが、相変わらず方向感のない展開となっています。市場参加者が少なく、しっかりとした買いが入っていないことでちょっとした手仕舞い売り、キャリートレードの解消などで値を崩してしまうようです。年末、クリスマス休暇に入るということも手仕舞い売りを急ぐ要因となっているのでしょう。いよいよ年末に向けての動きも出てくるものと思います。

 来年から東証の新システムが始まります。スピードがものすごく早いというのが「ウリ」のようですが、デイトレーダーなどはやり難くなるのではないかと思います。所謂「板」と言われる売り買いの状況を見ながら目先の1円、2円を取ろうとすると見えないところで「板」が変わり、思った値段で売り買いできなくなることも考えられるのです。何度もこのコラムでも述べてきましたが、小手先のテクニックやクリックするスピードの速さだけで利益を出していたような向きは戸惑うこともあるかもしれません。

 今でも大証のミニ先物なども先物との裁定取引などが自動的に発注されるシステムもあるようで、瞬間的に売りや買いがなくなることも良くあります。こうした動きが全ての銘柄が起こるとなると、自動発注システムを逆手にとるような動きなどが出てくることも考えられ、ますます株式投資というよりも値動きばかりを重視することになる可能性もあります。蓋を開けてみないことにはどうなるかわからないのですが、ますます市場参加者が減る可能性も否定できません。ただ、逆に目先の動きを気にしないような投資には影響が少ないと思われ、投資の仕方も変わってくるかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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