欧州での金融不安が一服、米国も「出口戦略」を織り込んで大幅高となったことを好感して大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年02月12日 16時07分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10092.19円 △128.20円
売買高 20億7028万株
日経平均先物 10100円 △110円
売買代金 1兆3663億円
TOPIX 892.16 △8.66
値上がり銘柄 1017銘柄
東証マザーズ指数 392.63 △3.46
値下がり銘柄 501銘柄
日経ジャスダック平均 1199.31円 △6.94円
変わらず 161銘柄
騰落レシオ 79.44% ▼0.83%

日経平均

欧州での金融不安が一服、米国も「出口戦略」を織り込んで大幅高となったことを好感して大幅高

 欧州でギリシャ救済が決定したことや米国で出口戦略を織り込んで業績回復を評価する動きで大幅高となったことから買い先行となりました。為替も落ち着いた動きとなって来たことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が大幅買い越しとなったことに加え、オプションSQ(特別清算指数)算出に絡んで若干買い越しとなったことから主力銘柄が買い気配から始まるなど大幅高の始まりとなりました。ただ、飛び石連休の谷間と言うことや米国が週明けに休場となることなどから積極的な売り買いは手控えられ、目先筋の利益確定売りや見切売りに上げ幅を縮小しながら小動きとなりました。

 日経平均の10000円を意識するところでは底堅さも見られたのですが、上値を買いあがる動きにも乏しく方向感は出ませんでした。後場も引けを意識する時間帯までは全くと言っていいほど動きはなく、指数は膠着となりました。特に手掛かり材料がない中で個別に業績動向に反応はするのですが、市場全体の方向感はなく底堅さばかりが目立っていました。引けを意識する時間帯に底堅さを確認して買戻しを急ぐ動きも見られましたが、週末のヘッジ売りなどもあって、戻りも限定的、前場の高値を窺うところでは一旦上値も重くなりました。最後まで売り急ぐ動きはなく、買い戻しは続き高値圏での引けとなりましたが、大幅高ながらも盛り上がりに欠ける展開となりました。

 小型銘柄も堅調となるものも多かったのですが、積極的な買い気に乏しく、売り一巡となったものがちょっとした買いで値を戻しているだけと言う感じで、東証マザーズ指数も日経ジャスダック平均も堅調ながらも上値の重い展開となりました。先物もまとまった売り買いは散発的に見られるだけで、方向感を持った売り買いに乏しく、指数を方向付けるような動きはありませんでした。目先筋の小掬い商いが中心となっていたようです。

 幕間つなぎ的に好業績を発表した銘柄が買われていました。わかり易い材料ということで、市場参加者が少ないなかでは売買が集中し易いということなのでしょう。米国でも業績の回復を織り込むような動きになって来たことから、日本市場も業績面に不安の少なくなった銘柄を中心に底堅さが見られるのでしょう。収益上振れ期待があることから、強含みの展開となりそうです。ただ、業績回復も米国市場同様に「出口戦略」が取り沙汰されるようであれば、一旦は上値を押さえる要因となって来るものと思います。最終的には景気回復、業績回復を織り込む動きになるものと思われ、下値はますます売り叩き難くなるのでしょう。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 順調に戻りを試す動きとなっています。遅行線が基準線にサポートされるように戻っていますが、日々線はまだ転換線までも戻っておらず、RSIは下落余地はあるのですが、底値圏からの反発を示し、ストキャスティックスも反発を示し始めたところであり、まだまだ戻りを試す動きが続くものと思います。一旦、転換線に上値押さえられるのかもしれませんが、基準線までの戻りはあるものと思います。

TOPIX

NYダウ

 雲の上限に上値を押さえられた状況が続いています。それでも上値を押さえられながらも雲の上昇に合わせて上昇となる可能性も高く、転換線や基準線までの戻りを試すことになるのでしょう。RSIには下値余地もあったのですが、底値圏からの反発となり、ストキャスティックスも再度底値を確認して反発となっており、一旦は底値=押し目を確認するように戻りを試す動きが続くのでしょう。

円相場

NYダウ

 引き続き雲の中で底堅い展開となっていますが上値も重い状況が続いています。RSIもストキャスティックスも今度は下げ足りないような感じでしたが、雲の下限を意識して底堅く、戻りを試す展開となっています。まだしばらくは雲の中での動きと見ておいていいのではないかと思います。

銘柄ピックアップ

業績修正に素直に反応

電 通(4324) 2107 △110

 休日前の10日の引け後に2010年3月期の連結経常利益が減益ながら従来予想を上回ると発表したことから、好感する買いが入り大幅高となりました。外資系証券が投資判断を引き上げたこともあって上げ幅拡大となったものと思います。

キリンHD(2503) 1323 ▼19

 サントリーとの経営統合が破談になったことを嫌気する動きに加え、2010年12月期の純利益が2%減となりそうだと10日の引け後に発表したことから見切売りが嵩み一時大幅下落となるなど軟調となりました。

住友鉱(5713) 1259 △53

 海外市場で商品市況が堅調となったことから目先筋の買戻しも交えて買いが入り、大幅高となりました。ここのところ軟調な展開となっていたことの反動もあって大きな上昇となったものと思います。

三菱商(8058) 2225 △70

 ベネズエラの有望油田の権益を獲得したと伝えられたことやチリの鉄鉱石会社に出資したことで業容の拡大を期待する買いが入り大幅高となりました。商品市況が上昇したことも買い急がせる要因となったものと思います。

GSユアサ(6674) 598 △53

 10日の引け後に2010年3月期連結純利益が減益ながらも従来予想を大きく上回ったことを発表、素直に好感する買いが入り大幅高となりました。「電池関連銘柄」として将来的な収益拡大も期待されるとして目先筋の買戻しなども交えて買いが集まったものと思います。

池田泉州(8714) 226 ▼44

 後場の取引時間中に3月中にも普通株による大型の公募増資を行うとのニュースが情報端末から流れ、株式価値の希薄化を嫌気する売りや目先筋の売りが嵩んで急落となりました。手掛かりに乏しいところでわかりやすい材料が出て、目先筋が飛びつき、下げ幅を広げる要因となったものと思います。

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