欧州金融不安の再燃、商品市況が軟調となり上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月10日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10564.38△11.86

<NASDAQ>2340.68△8.47

<為替:NY終値>89.96-90.02

欧州金融不安の再燃、商品市況が軟調となり上値の重い展開

 英銀の格下げの話題などもあり、売り先行となりました。欧州での金融不安が再燃するような格好で、商品相場も信用収縮懸念から手仕舞い売りを急ぐ結果となり、軟調なものが多くなりました。一方、ネットワーク機器大手が超高速・大容量ルーターを開発したと発表して通信株などが買われ、連れてハイテク銘柄の一角が高く、指数を押し上げる格好となりました。特に注目された経済指標の発表もなく、手仕舞い売りや買戻しが中心となって方向感のない展開となりました。

 欧州での金融不安がまだ完全には払拭されておらず、商品相場などへのリスクマネーの流入は増えていないようです。実需中心となって、商品相場は利益確定売りに押され、株式市場も利益を早め早めに確保しようとしているようです。「金融相場」から「業績相場」の端境期とということで、出口戦略が気になり、金利などへの反応も敏感になって来るのではないかと思います。ただ、業績面での下支えから底堅い堅調な展開は続くものと思います。

 個別には高速・大容量ルーターを開発したと発表したシスコシステムズは好感して買われ、一時約1年9カ月ぶりの高値を付けたものの利益確定売りもあって最後は変わらずとなりました。この流れに引きずられてアップルやマイクロソフト、インテルなども堅調となりましたが、グーグルなど利益確定売りに押されるものも見られました。シティグループは大幅高となりましたが、JPモルガン・チェースは軟調となるなど金融株もまちまち、シェブロンは軟調でエクソン・モービルは堅調、パブリック・ゴールドは軟調でニューモント・マイニングは堅調となるなど同業種でもまちまちとなるものが多く見られ、方向感の無さを示していました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末、週初の大幅高の反動から売り先行となったものの、外国人が買い越しと伝えられたことなどもあり、底堅く、指数は小動きとなりました。業績回復、景気回復が期待されるなかで、売り急ぐ動きはないのですが、SQ(特別清算指数)の算出や経済指標の発表を控え、また、決算月と言うことで持高調整や持合解消の売りが懸念されてしっかりと買い上がり難く、早めの利益確定売りに押される展開となっています。

 米国市場は堅調となりましたが、引き続き目先的な過熱感が強い中で為替も円高に振れたことから上値の重い展開となりそうです。寄り付き前に発表される機械受注統計が予想を大きく下回れば売られ、上回れば買われることになるのでしょうが、寄り付きの売り買いが一巡したところからは週末のSQ(特別清算指数)算出を控えて、また、決算月であることを考えると積極的な売り買いには乏しくなって来るものと思われます。先駆した感のあるハイテク銘柄の一角は利益確定売りに押されるのでしょうし、出遅れ感が強い内需関連やハイテク銘柄などは買い直されて底堅い展開となりそうです。

 日経平均は10500円台での動きとなっています。一昨日の高値を抜けてくるのか、安値を割り込んで来るのかで方向が決まりそうですが、目先的な過熱感もあり、上値の重い展開となりそうです。10500円を割り込むような展開になれば、先週末から今週初めに空けた「窓」を埋めるように10400円を割り込むことになるのでしょう。10500円台を固める動きになるのか10500円〜600円水準を上値とした下値10100円台半ばから200円台半ばのもみ合いが続いていると見るのか、ここからが正念場となりそうです。

本日の注目点

◇2月の企業物価指数(日銀)

◇1月の機械受注(内閣府)

◇1月の特定サービス産業動態統計速報(経産省)

◇2月の中古車登録台数(自販連)

◇2月の中国貿易統計

◇2月の米財政収支

◇1月の米卸売売上高

◇決算・1月期:東京楽天地(8842)

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