任天堂のマリオシリーズやスクウェア・エニックスのファイナルファンタジーシリーズなど、世界中の人々が遊ぶようなゲームを多く生み出している日本。しかし、急速に拡大しているiPhoneアプリ市場で海外に通用するゲームを作った日本企業はまだ少ない。そんな中、2009年2月に米国App Storeの有料アプリランキングで1位に輝いたのがパンカクの『LightBike』だ。
『LightBike』はなぜ1位を獲得できたのか。パンカクの柳澤康弘社長は3月11日、情報処理学会で行った講演でその軌跡を改めて振り返った。
柳澤 私は慶應義塾大学の卒業生なのですが、在学中から携帯アプリを作る会社を立ち上げて、プログラマーをやっていました。その後、SNSのパッケージソフトを作るBeat Communicationという会社に創業から関わりました。2004年に創業した会社で、mixiやGREEが大きくなる前からSNSの制作をやっていて、NTT東日本やNTTデータなどに納入していました。
そして、「できる限り多くの人たちに対して、自分たちが作ったアプリやプロダクト、サービスを提供したい」という思いから、2007年にパンカクという会社を起業するに至ります。特に大事にしている方針が1つあるのですが、それは「常にフロンティアを狙う」ということです。“フロンティア”というのは、現時点では需要が小さく、供給も少ないものの、今後の大きな盛り上がりが見込める分野です。
SNSのパッケージソフトを作る会社の立ち上げに関わったということもあって、私はWeb系アプリの開発に強みがありました。しかし、2008年7月のiPhone3Gの発売とApp Store※の開始によって、世界中のどこにいるディベロッパーでも、全世界にアプリを配信することができるということに可能性を感じて、その発売の1カ月前からiPhoneアプリの開発を始めました。
柳澤 市場全体についてなのですが、2009年末の時点で全世界でiPhoneとiPod touch合わせて約7800万台とAdMobが予測しています。2009年9月の段階では5千数百万台という状況だったので、非常に急激な勢いで台数が伸びています。
アプリの種類は18万タイトル、ダウンロード数も30億本(2010年1月時点)と非常に多いことが分かります。多くのアプリが出ている一方、利用するユーザーも多くいるという市場の中で、非常にフラットな競争が行われています。
その一例なのですが、下画像が米国App Storeの有料アプリランキングになります。6位にカプコン、11位にエレクトロニック・アーツといった大手のゲームディベロッパーがランクインしてはいるのですが、すごくゆるい絵がアイコンになっているものがありますよね。2位の『Doodle Jump』がそうなのですが、こういった個人が作ったようなシンプルなゲーム性だけで勝負するアプリがポンと上位に入ってくるようなマーケットでもあります。そのため、大手も非常に苦労しており、個人で作ってもランキングに入るのは中々難しいです。
一方、日本App Storeの有料アプリランキングは下画像のようになっていて、国ごとに売り上げているアプリの種類は大きく異なっています。昔は日本もゲームタイトルが非常に多かったのですが、最近は実用系の有料アプリが上位に来ているように思います。
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