不安なのに準備ができていない……ビジネスパーソンの4割が“老後難民予備軍”

» 2010年04月13日 18時45分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 退職後に必要となる資金をどのくらい用意していますか? ビジネスパーソンに聞いたところ、平均金額は516万円だったが、「まったく準備ができていない(0円)」という人が44.3%に達していることが、フィデリティ退職・投資教育研究所の調査で明らかになった。20代男性の58.2%が「0円」と答えたほか、年収300万円以下でも57.1%が全く準備していないようだ。

退職後に必要となる生活資金(出典:フィデリティ退職・投資教育研究所)

 また退職後の生活資金(公的年金以外)として必要な金額を聞いたところ、平均金額は2989万円。年収別に見てみると、年収300万円以下では2554万円、300万円〜500万円で2830万円、500万円〜700万円で3049万円、700万円〜1000万円で3441万円、1000万円〜1500万円で4101万円、2000万円以上で7188万円と大きな差が出た。「よく『退職後に必要な生活費は月額35万円』といった一律でその金額を議論することがあるが、この数字を見ると年収(現役時代の生活レベル)によって、必要と考える退職後の生活費が相当違っていることが分かった」(フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長)

退職後の生活

フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長

 ビジネスパーソンは退職後、どのような生活を望んでいるのだろうか。「のんびり・マイペース」(51.7%)に過ごしたいという人が最も多く、「いきいき・はつらつ」(6.4%)と「明るく・楽しく」(12.6%)を加えると、70.7%が前向きな考えをしているようだ。ただ「現在の自分の生活より、退職後はよい生活を送れる」と答えた人は18.6%にとどまり、「悪くなっている」は49.5%。また「今の高齢者より、良い生活が送れる」とするのは8.3%、一方「悪くなっている」と見るのは70.0%にも達した。

 この調査結果を受け、野尻所長は「退職後の生活に不安を持ちながら、将来に向けた準備ができていない状況にある“老後難民予備軍”の存在が浮かび上がった。退職後の課題は自らの努力によって克服する以外に道はない。公的年金以外で退職後の生活資金準備額が“0円”の現役ビジネスパーソンが4割超というのは、危機的な状況と言えるのではないだろうか」と見ている。

 インターネットによる調査で、20〜59歳のビジネスパーソン1万976人が回答した。調査期間は2月5日から2月15日まで。

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