そして沖縄は、太平洋に進出する中国外洋艦隊にとっては、まさにフタの位置にある。つまり中国にとっては障害だ。だからこそしばしばここを通過して、艦隊が自由に行動するためのデータを収集し、かつ自衛隊がどのように反応するかを観察しているわけだ。このような状況のところに、日本では民主党政権が成立し、普天間基地移設問題が暗礁に乗り上げてしまった。
そして沖縄の基地負担軽減という話だけが強調される。しかしそれでは日本は、いったいこうした周辺の軍事情勢の変化にどう対応していくつもりなのか。ある防衛省の幹部は、中国の意図がまだはっきりしないということを盾にして、日本の防衛戦略を大きく変えるつもりはないと語った。
中国が外洋艦隊の整備に乗り出したことを受けて、あるロシア海軍幹部は、中国海軍の強化はロシアにとっても脅威であるとした上で、「空母の運用は難しいから、空母ができても訓練などで5年ぐらいはかかる。その間に対策を練ることができる」と語っていた。
しかし日本にとっては、普天間基地の移設という大きなトゲが日米両国の間に刺さってしまった。このトゲをどう処理するのか、鳩山政権の無戦略によって解決がますます難しくなっている。素人防衛戦略では、米国側はいくら「トラスト・ミー」と言われても、信じる気にはなるまい。
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