化繊の悲しさ――“お土産進化論”から見た経済格差ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2010年05月10日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

北朝鮮の人はお土産に“化繊”商品を買う

 ……最初に書きたかったことと完全に話がずれました。

 書きたかったのは、「北朝鮮の人が買うお土産として“化繊”商品の人気が高い」と聞いたことです。女性用下着や靴下、ブラウスやスカーフ系など、ナイロンやポリエステルなどが人気だそうです。

 この話を聞いた時にすごく違和感がありました。なぜならちきりんは最近あまり化繊のものを買わなくなっているからです。直接肌に触れるものは特にそう。夏はシーツ、布団(中綿も)、パジャマと全部「リネン100%」を使います。シャリシャリしてすごく気持ちいい。洋服でもカシミヤ、ウール、綿など自然素材が多いです。

 ちきりんだけではなく、一般論として先進国では「自然繊維の方が人気も価格もおしゃれ度も高い」と認識されていると思います。しかも、普通の綿より“有機綿”が人気。「どんどん自然のものへ」という流れがあります。

 ところが途上国では反対の場合が多いのです。基本的に化学合成品の方が「価値も、おしゃれ度も高い」と認識されている。

 それはなぜか?

 かいこを飼って絹を作るとか、綿や麻を摘んでつむぐのは人力でできます。そういうものは途上国でも手に入ります。一方で、ナイロンなどは石油化学製品なので、大規模な化学工場が必要です。「人力でナイロンを作る」なんて無理です。技術と石油と電力が必要なので途上国では自製できず、なかなか手に入らない。だから憧れなんです。

 先進国だと工場で大量生産できるものは安くなり、人件費がかかるものの方が高くなるのですが、途上国ではこれが反対になるわけです。

 というわけで、北朝鮮の人にお土産をあげるなら、格安のナイロン製の下着やスカーフの方がリネンの衣服より感謝されます。

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