グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年5月7日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
連休の中日、5月3日の日経MJ・総合欄にコラム「日経ネットマーケティング 渡辺博則編集長のIT新事情」が掲載された。「企業のツイッター導入 社長命令に現場困惑」とのタイトルが目に飛び込んできた。ソフトバンクの孫正義社長、楽天の三木谷浩史社長に触発されて、社内の広報担当者に自社でのTwitterの活用を指示する経営者を例示している。
記事では、メルマガやブログと異なる難しさの1つとして、社内でのチェック体制が追いつかない「即時性」を挙げている。さらにもう1つ、担当者の個性にどこまで頼るのか、コントロールするのかという難しい問題に触れている。結論としては「個性に頼らず、属人性を廃して複数人で担当を」ということのようだ。
日経関連では、同様のテーマを「日本経済新聞電子版」が取り上げている。
「なぜ挫折する? 導入企業の心得 ビジネスツイッター総点検!(4)」
記事には、かつてTwitterでのキャンペーン告知がSPAMと認識され炎上し、素早いおわびとリカバリーで名をあげた上島珈琲(UCC)の事例で、組織体制と承認プロセスが解説されている。日経MJの指摘する「即時性に対応した承認プロセス」に対する1つの解として必見だ。
もう1つ、企業アカウントを運営する担当者とその個性、属人性をどうするかという問題には、いくつかの選択肢が示されている。
大前提として、「属人性」を減らすために、目標を明確化させると、1ページ目に指摘がある。目的が曖昧(あいまい)なままアカウントの運用を始めると、「つぶやく内容がない」「運用の負荷が大きすぎる」「フォロワーが増えない」「コミュニケーションの取り方が分からない」「最適な担当部署が分からない」「効果が見えない」などの悩みにさいなまれるとある。それはまさしくその通りだ。
その上で、責任者を決め、複数人で運営したほうがいいとして、その目的に応じて(1)キャラクター設定をして複数の担当者でそれを演じる、(2)キャラクター設定をせずに各担当者の個性を出す、(3)個性を出さずに淡々と情報を伝えるという選択肢を示している。
筆者としては、「ユニクロ」のようなセール情報だけを淡々とリリースするTwitterの利用法なら(3)の無個性で構わないと思うが、さりとて(2)の担当者の個性に依存するのも、誰もが「加ト吉」の名物部長ではないのでムリだと思う。ゆえに、(1)のキャラクター設定がキモとなるのだ。
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