職場で尊敬できる先輩がいません長尾社長に“働く”について聞いてきた

» 2010年06月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 企業のトップに、読者からのさまざまな悩みについて答えてもらうシリーズ「“働く”について聞いてきた」。職場で尊敬できる先輩がいない……という人の悩みに対し、佐川フィナンシャルの長尾秀樹社長はどのように答えたのだろうか。

男性24歳Kさん、不動産会社

 職場で尊敬できる先輩がいません。社会人になる前に、ある人からこのようなことを言われました。「会社で尊敬できる人を見つけろ」と。しかし上司の仕事を見ていても「ああいう人にはなりたくないなあ」と思ってしまうことばかり。無理に尊敬する人を見つけなくてもいい、とは思うのですが……。○○社長は尊敬できる先輩はいらっしゃいましたか? もしいらっしゃれば、その方のどんなところを尊敬していましたか?


いいところを吸収していけば

長尾秀樹社長

 「尊敬」できる会社の上司・同僚を見つけろ、という知人のアドバイスはなかなか妙案ですね。もしかしたら、Kさんはそのアドバイスをしてくれた方を尊敬しているのではないでしょうか? しかし残念ながら、同じ職場ではないことから、今回のような悩みを抱えているのかもしれませんね。

 やはり長い人生、尊敬できる人はたくさんいたほうがいいです。職場、趣味の集まり、大学同窓などKさんのさまざまな生活場面で尊敬できる人をキープしておくことが大切でしょう。中でも一番生活時間の長い会社は重要な場面ですね。

 ただ、尊敬とはどういうことでしょうか? 会社では上司と部下、先輩と後輩、同僚といったさまざまな関係の中で仕事をしています。Kさんがイメージしている人物は、どうも上司・先輩といった目上の人のような気がしますが、同僚などにも目を向けてみてはいかがでしょうか。もし会社で同期がいれば、世代的にも同じなのだから、単純に「いい奴だ」とか「話が分かる」というレベルでもいいと思います。

 ひょっとして、Kさんは尊敬という言葉を重く考えているのかもしれません。「能力的にも、全人格的にも優れている」などと思わずに、あくまで会社の中の話と割り切って、思考・行動などで参考になる、と考えるのはどうでしょうか。

 私はこれまでの社会人人生で、4人の方にインパクトを受けました。それは今も、私の仕事のスタイルに残っています。ただ、その4人が全員「人格的に優れている」とは言えません。

 こんな方法を試してみてはいかがでしょうか。Kさんがすごいなあと思う、仕事のやり方や接し方などを書き出します。そしてそのことを実践している人を見つけ、いいところを吸収していけばいいのです。尊敬する人を見つけることはできないかもしれませんが、きっと仕事をしていくうえでプラスになると思いますよ。

プロフィール:長尾秀樹(ながお・ひでき)

1956年9月、徳島県で生まれる。

1980年3月、東京大学法学部卒業、同年4月、日本開発銀行(現・日本政策投資銀行)入行。建設省(現・国土交通省)派遣、ドイチェバンク(当時・西ドイツ)などの派遣を経て、2001年3月に関西支店次長。2002年3月、新規事業部次長、2006年6月、新産業創造部長、2008年6月、SGホールディングス株式会社入社・経営戦略部部長、2009年6月、佐川フィナンシャル株式会社・代表取締役就任、現在に至る。


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