業界最大手のナビタイムジャパンに次いで、目下注目のナビゲーションサービス企業がユビークリンクである。同社は「全力案内! ナビ」というサービスでNAVITIMEを追撃しており、クルマ向けのカーナビサービスも標準で用意している。しかし、ナビタイムとの違いもある。ナビタイムの「EZナビウォーク」や「NAVITIME」は日本の携帯電話(ケータイ)向けにサービス提供することで急成長し、今もそこが主要な顧客層になっているのに対し、ユビークリンクはiPhone向けアプリ「全力案内!」で急成長、この市場におけるプレゼンスを高めたという経緯がある。ライバルのナビタイムは、一度はiPhone市場に参入するも、アプリのUIやビジネスモデルがiPhone市場とうまく合致せずに撤退。2010年4月に再参入するまで、iPhone市場ではNAVITIMEの不在が続いた。一方、ユビークリンクの全力案内!は、"iPhone向け"のUIデザインや機能を持つアプリ開発に注力し、粘り強くバージョンアップとマーケティングを続けることで、iPhoneユーザーの支持を得たのだ。
「全力案内!ナビにとって、iPhone / iPadはとても大切なマーケットです。ここを橋頭堡に、スマートフォン市場でNo.1のナビゲーションサービスを目指しています」(ユビークリンク 代表取締役社長の増田 有孝氏)
今年7月にはiPhone版「全力案内!ナビ」をiPadにも対応させたほか、料金体系も改訂。1年間の利用権付きアプリ(900円)をiPhone / iPadの両方で利用できるようにした。また、ドコモの「Xperia」などAndroid端末向けの全力案内!ナビも発売するなど(参照記事)、スマートフォン市場での勢力拡大に余念がない。
そして、全力案内!ナビにとって、クルマ向けカーナビサービスも重要な機能になっている。ユビークリンクは全力案内!ナビの開発にあたり、当初からプローブ情報(※)を用いた高精度な渋滞情報サービスを重視しており、タクシーから渋滞情報を収集する独自のタクシープローブシステムを構築している。現在はこのタクシープローブとユーザーから収集したプローブ情報を組み合わせて、高度な渋滞情報サービスを提供しているのだ(参照記事)。ナビタイムでも今年からプローブ渋滞情報サービスに対応したが(参照リンク)、この分野ではユビークリンクが先行している。
「カーナビ市場のトレンドを見ると、アメリカではこれまでのPNDによる市場拡大が、スマートフォン主導に変わり始めています。Googleのカーナビサービス機能強化などはその典型例と言えるでしょう。ですから我々も、スマートフォン向けカーナビサービスを重要視しています。様々な商品を投入していきたい」(増田氏)
日本では道交法の規制があるため、スマートフォンをそのままカーナビとして使うことはできない。しかし、専用の車載アタッチメントとハンズフリー通話機能を組み合わせれば、スマートフォンやiPadのようなマルチメディア端末のカーナビアプリを、カーナビとして使うことができる。iPhone/iPadの普及や、スマートフォンの進化と連動して、全力案内!ナビのようなスマートフォン向けカーナビサービスの勢力も無視できないものになるだろう。
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