日本で二大政党制が成立するために必要なものちきりんの“社会派”で行こう!(1/3 ページ)

» 2010年09月20日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん(Twitter:@InsideCHIKIRIN)。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2005年9月23日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 2009年の衆議院選挙で民主党が政権交代を実現し、日本もいよいよ“二大政党制”の時代に入ったかのように言われることがあります。しかし、二大政党制が成立するためには、2つの大政党の議員数がバランスすること以外に、もう1つ条件が必要です。

 それは“基本思想の対立”です。それぞれの政党の根本的な考え方に明確な対立点がないと、意味のある二大政党制は成立しないのです。

 例えば、民主党の一部議員が主張する政策は、小泉純一郎元首相が掲げていたのと同じような政策です。似たような思想をもつ自民党議員やみんなの党などの他党議員も存在しています。民主党と自民党が何が違うのか、鳩山由紀夫前首相の辞任以降、それさえよく分からなくなっています。

 基本思想の対立で一番分かりやすいのは、いわゆる“55年体制”でしょう。当時の自民党と社会党には明確な“対立思想”がありました。「資本主義経済か、社会主義経済か」「米国寄りか、アジア寄りか」という対立です。

 英国の保守党と労働党も同じです。英国にはまだ色濃く社会階層が残っています。「ノーブルな層の利益か、労働者階級の利益か」、その対立思想に基づいて2つの政党があるのです。

 米国の共和党と民主党の違いも明確です。「裕福で保守的な白人支配層か、経済的に必ずしも豊かではないマイノリティか」、それぞれが支援する産業も、伝統的な重厚長大産業と、サービス産業やIT、バイオなどの新産業に分かれています。

 つまり、日本でも二大政党制を考えるためには、「何と何の対立構造が、日本において成り立ち得るか?」と考える必要があるのです。

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