家庭だけで解決できるのか 親の介護、育児、そして高齢ニートちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2010年12月20日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

昔と今の違い

 例えば、昔→今という形で書くと、

(昔)障害がある子どもは親が扶養する。親の没後は長男(家長!)夫婦が面倒を見る。

(今)親の没後は、自立できない障害者の兄弟(姉妹)は施設に移って暮らしてもらう。

(昔)親が子どもを育てる。親が亡くなると親戚が育てる。

(今)育児放棄や虐待された子どもが、児童養護施設で育てられる。親戚も親が亡くなった子どもを引き取らない。

(昔)子どもが老親の面倒を見る。

(今)親は介護保険と、介護施設で世話をされる。

(昔)成人した子どもがギャンブルで作った借金は、(連帯保証がなくても)親が田んぼを売って払ってやる。

(今)成人した子どもが借金を返せない場合、子どもが自己破産する。

(昔)犯罪を犯した成人後の娘や息子を親が監督して更正させる(と裁判所に約束する)。

(今)成人した息子や娘の犯罪には「自分は関係ない」と断言する。

(昔)経済的にやっていけない人を、兄弟姉妹が扶養する。

(今)生活保護で扶養される。

 というような感じです。このように昔は家庭内で問題解決していたことでも、今は社会で解決することが多くなっていると思われます。

 特に介護保険の導入はこの点でエポックメーキングであり、日本社会の変節点でした。老親の面倒を見ることは、過去ずっとごく当然に「家庭内で解決すべき問題」とされてきたのです。それが介護保険制度ができたことによって、「老後扶養問題は、社会で解決すべき問題。もちろん家庭のみで解決できるならそれでもいいですが」という位置付けに変わりました。

 ここで公的扶養は、私的扶養の有無とは関係付けられていません。介護保険を申請する際、「子どもさんが親の面倒を見ることができる場合は、介護保険は使えません」とは言われないのです。子どもが扶養できるかどうかに関わらず、健康状態によって支援や介護が必要だと認定された高齢者は介護保険のサポートを受けることができます。

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