米国株安や円高を嫌気して連日の大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年01月31日 15時59分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場が大幅下落となったことや円高に振れたことが嫌気されて大幅下落となりました。後場に入ってからは売り一巡からの底堅さが確認されたことや好決算に素直に反応、押し目での買いが入りも下げ幅を縮小する場面もありましたが、最後まで買い上がるような動きはなく、芳しくない決算に敏感に反応するする格好となって戻りも限定的となりました。円高の影響が懸念されることから、通期見通しは相変わらず慎重な見方となるものも多く、最後まで買い切れないのですが、逆に足元の業績が好調なものが多く、最後まで売り切れないと言うことなのでしょう。

 決算発表が本格化し、決算動向に一喜一憂する場面も見られますが、いつもこのコラムで述べているのですが決算発表に反応するのであればそれはそれで良いのですが、しっかりと決算動向や業績見通しを見極めてからでも遅くはないと思います。特に取引時間中に発表される決算には目先筋も鵜の目鷹の目で狙っており、それらの動きに「アルゴリズム取引」などのトリガーが引かれて、思いがけない値段がついてしまうこともあると思います。

 もちろん、これだけ決算発表が重なると一つ一つ吟味することは不可能ですし、個々の決算を細かく吟味するには時間がかかると思います。セクターアナリストと呼ばれる、自分の担当があるようなアナリストであれば、うまく時間を配分して自分の担当の企業の決算説明会に出かけ、しっかりと吟味することは可能なのでしょうが、個人投資家ではそこまでしっかりと吟味することは難しいのではないかと思います。

 ですから、アナリストが行かないような銘柄だけを自分でしっかりと分析し、あとはアナリストの分析を見ながら個別に吟味すると言うやり方もあるでしょう。また、何でもかんでも食いつくのではなく、自分である程度テーマや業種、などで投資対象を絞ってから決算を吟味していくと言うことも必要でしょう。同業種の中での決算比較なども大切ですし、大きな経済の流れの中で個々の企業の決算内容を見ていくことも必要でしょう。個々人分析の仕方はあると思いますが、大きな流れを掴んで個々の決算を見ていかないと、近視眼的に先が見えなくなってしまうことになりそうです。あくまでも先を読むために過去の決算を分析すると言うことは忘れないようにしたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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