コラム
» 2011年04月11日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:汚水処理場がないのにトイレを使うようなもの……日本の原発は (2/3)

[藤田正美,Business Media 誠]

日本のエネルギー政策は失敗

 日本はエネルギーのほとんどを輸入に依存している。原油、石炭、天然ガス、そしてもちろんウランも輸入している。エネルギー安全保障という観点から言えば、どのエネルギーも外国に握られているから極めて脆弱(ぜいじゃく)な体質ということができるが、とりわけ石油は中東からの輸入が90%を占めるだけに、中東の政治情勢が不安定になればたちまちその影響を受ける。第一次石油ショックでは一般消費者がパニックになり、ガソリンスタンドにはやはり長い行列ができた。

 それに比べるとウランは、オーストラリアやカナダといった先進国から輸入するため、安定供給が見込める。だから国策として原子力発電所を増やしてきた。その結果、米国、フランスに次ぐ原子力大国になったのである。

 英エコノミスト最新号(4月2日号、参照リンク)は日本のエネルギー問題を取り上げていて、こう締めくくっている。「今回の危機によって日本のエネルギー政策が失敗だったことを示している。電力料金は高いし、安定したエネルギーの切り札とされた核燃料サイクルもまだ実現していない。福島第1原発の危機は、東電だけの失敗ではなく、政府の失敗でもある。もっとしっかりしたエネルギー戦略が必要ならば、まずこれまでの政策が誤りだったということを認めることから始めなければならない」

 東電は見通しが立たない原子力の代わりに、自社でガスタービン発電機を増設し、また民間の自家発電機からも買い取るなど電力を必死にかき集めている。もちろん他の電力会社からも買っているが、日本の東西で周波数が異なるため、中部電力以西の電力会社から融通を受けるためには周波数を変換する必要がある。その変換ポイントが3カ所しかないために、買える電力は約100万キロワットにとどまる。電力に余裕がある北海道から買うにしても、津軽海峡をわたる線が太くないために60万キロワットしか融通してもらえない。こうした対策をいろいろ打っても、通常の夏の需要を賄えないのが現状だ。

 その意味ではこの夏をなんとか乗り切ったとしても、来年の夏は電力を安心して使える状態になっているという保証はどこにもない。東電首脳の顔ぶれは一段落したところで変わるのだろうが、新しい経営陣が枕を高くして眠れる日はいったいいつ来るのだろうか。

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