ビジネスパーソンに有益なコンテンツを無料で提供――bizocean×Business Media 誠ネットメディア編集長対談(3/5 ページ)

» 2011年06月16日 09時55分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

読者層がユニーク? Business Media 誠の特徴

Business Media 誠編集長、吉岡綾乃

吉岡 数年前まで、商用WebサイトはIT系か新聞社系のどちらかだった……というお話がありましたが、アイティメディアはまさにIT系の商用サイトを運営する会社です。私自身、もともとは、ソフトバンクでパソコン雑誌の編集者をしていました。その経験と、アイティメディアに移ってから記者として商用Webサイトの運営に携わった経験をベースにして『ビジネスパーソンの役に立つ、IT系ではないWeb媒体を作りたい』と思って立ち上げたのが、2007年4月スタートの『Business Media 誠』です。

 前から気になっていたんですけど、どうして『誠』なんですか?

吉岡 なぜ『誠』なのか、その質問はよく聞かれるのですが……この名前は『読者や取材対象に対し、Webメディアだからできる誠実さを実現したい』という思いからきています。

 雑誌を作っていた頃、インタビューや対談を担当することが多かったのですが、長くて面白い内容のときも、誌面の都合でいろいろカットせざるをえないのがいつも残念で。前後をカットしすぎると正しく意味が伝わらないこともあり『ものすごく小さい文字で完全版を収録できたらいいのに』とよく思っていました。誠の企画が立ち上がり、紙媒体はなし、Webオンリーでビジネス誌をやろうということになって、思い出したのが当時の体験。『存分に詳しく、深掘りした記事を載せよう。インタビューで、前後の文脈をカットして一部の発言だけセンセーショナルに取り出すなんてことはしない。だって紙と違って、Webなら誌面に制限はないんだから。それが読者や取材対象に対する、Webだからできる誠実さだ』と思ったのです。

 それで『誠』と名付けました。編集部で制作している記事には、超長文インタビュー(参照記事)や、ほぼ全文収録の講演録(参照記事)が多いのは、そのコンセプトが由来なんです。

 新撰組は関係なかったんですね(笑)。

吉岡 ええ。もう1つ、創刊時に想定していた読者の中心が、今30代の若手ビジネスパーソンでした。1970年代生まれの、団塊ジュニアからロストジェネレーション世代と言われている人たちですね。実はこの世代の男性の名前を調べると、毎年一番人気なのが『誠』くんなのです(明治安田生命のランキングより)。これが、もうちょっと若返って20代前半になると1位が『大輔』になります。私がもうちょっと若い層を狙っていたら、『ビジネスメディア大輔』になっていたかもしれません(笑)。

 想定通りの読者が獲得できていますか?

吉岡 そうですね、ほぼ想定通り30代の男性を中心に読んでいただいています。特に熱心な読者さんはもうちょっと若くて、20代後半から30代前半の方々に多い印象です。現在のユーザープロファイルとしては、9割が男性で、そのうち未婚と既婚が半々くらい。職種的には、メーカー(IT関連以外)の方々が一番多いです。平均年齢は35.5歳で、平均年収が717万円です。

 ベンチャー系の人が多いのですか?

吉岡 従業員数1000人以上の企業、100〜1000人規模の企業、100人未満の企業が、それぞれ3分の1ずつ占めています。読者さんの世代的に、大きい会社にお勤めだと現場のマネージャーやリーダーをなさっている人が多いようですね。オンラインビジネス誌というと、『NBonline』や『ダイヤモンド・オンライン』『東洋経済オンライン』などが有名ですが、いずれも経営者向けです。読者層という点で、『Business Media 誠』はユニークと言えるかもしれません。

 PV(PageView)やUU(UniqueUser)などは、現在どれくらいですか?

吉岡 誠ブランドとしては現在、ビジネス情報全般を扱う『Business Media 誠』、仕事術やオフィス向け製品情報などの話題が中心の『誠 Biz.ID』、誠読者向けにオフタイム情報を提供する『誠 Style』の3媒体を展開しています。これらを合わせてUUが約200万、PVが約1000万弱というところですね。このほかにiPhoneやAndroidで記事を読んでいる読者さんもいて、『Biz誠』アプリのダウンロード数は約10万です。

 これだけ記事を読んでくれている人がいるのに、メールマガジンの読者は2万人弱くらいしかいないのが悩みなんですよね。毎週2回、私とBiz.IDの鷹木編集長が交互に書き下ろしているメルマガで、結構面白いと思うんですけど(笑)。さっき、メルマガ読者が60万人と伺ってびっくりしました。どうやったらbizoceanさんのようになれるのか……コツを教えてほしいです。

 うちもずっと、誠のような記事コンテンツをやりたかったのですが、いかんせんプロの編集者や記者がいませんからね。

吉岡 逆にうちは、bizoceanにあるような、"今すぐ役に立つダウンロードコンテンツ"作りは得意じゃないんです。そういう意味でも、今回協業させていただくことで、お互い、これまでなかったものを補い合えると良いですね。

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