米国雇用の改善や好調な企業業績の発表を受けて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年08月12日 08時33分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>8981.94▼56.80

<TOPIX>776.73▼5.85

<NYダウ>1143.31△423.37

<NASDAQ>2492.68△111.63

<NY為替>76.83▼0.04

欧州金融不安が薄れ、米国雇用の改善や好調な企業業績の発表を受けて大幅高

 連日の乱高下、「鯨幕相場」となっていますが、欧州での金融不安が薄れたことや前日の引け後に発表された主要企業の業績が予想を上回ったこと、また、朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回り、改善が続いていることを示したことなどから買い先行となりました。前日の大幅下落の反動や「バーゲンハンティング」とばかりに好業績ながらも売られすぎた銘柄などを物色する動きや買戻しを急ぐ動きが指数を押し上げました。

 毎日乱高下となっていますが、投機的な資金のリスク許容度は低下しているものの、米国経済自体はQE2が終了してもいっこうに衰えず、順調な業績となっているようです。前日の引け後の決算、そしてこの日の引け後の決算動向なども株式市場の混乱を尻目に好調な決算となっており、資金を慌てて逃避させるほどの景気の落ち込みはみられないと思います。先日来述べているようにファンド筋のリスク許容度の減少が問題であり、それも投げ売りが一段落したら落ち着いてくるのだと思います。

 個別には前日の引け後に予想を上回る決算を発表したシスコシステムズは投資判断の引き上げなどもみられ16%の大幅高となり、この日の引け後に予想を上回る決算と業績見通しを示したノードストロームは時間外取引で一段高となりました。自社株買いを発表したAOLも12%高と大きく上昇、欧州金融不安も薄れたことでJPモルガン・チェースが7%近く、バンク・オブ・アメリカは7%強の値上がりとなるなど金融株は総じて大幅高となり、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラー、アルコア、フォード・モーターなどの景気敏感株も軒並み大幅高、インテルが大幅高、IBMは堅調とjハイテク銘柄もほぼ全面高となりました。エクソン・モービルやシェブロンなどの石油株も大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅下落となったことなどから売りが先行、一時大幅下落となりました。ただ、為替が円安に振れる場面では戻りを試し、円高になって再度売られたのですが、朝方発表された機械受注が予想を上回ったことや日銀のETF(上場投資信託)買いが入ったとみられ、戻り歩調となりました。後場も上値は重いものの底堅く、下げ幅を縮小して引けました。為替は円高に振れたままですが、好調な決算発表などに反応して底堅くなっています。

 米国市場が大幅高となったことや為替の落ち着きもあり、堅調な展開となりそうです。本日は先物・オプションのSQ(特別清算指数)算出がありますが特に波乱もなく、買戻しを急ぐ動きも出て戻りを試すことになるのでしょう。週末ということで積極的に買い上がり持高を増やすというようなこともないのでしょうが、ヘッジ売りなどに押されながらも業績面からも割安感が強まっている銘柄などを中心に堅調な展開となりそうです。代替エネルギー関連や資源関連の割安感が強まっている銘柄の反騰が期待されます。

 日経平均の8800円〜900円水準での底堅さを確認して戻りを試す動きとなりそうです。上値の節目は心理的な節目である9000円をのぞけば9200円〜300円水準が節目とみられ、とりあえずはその節目を目指すということでしょう。いまだ疑心暗鬼な相場であり、一気に戻るということでもないのでしょうが、下値は8800円〜900円水準で確認できたとすると今度は戻りを試す動きであり、9200円〜300円、あるいは一気に抜けて9500円〜600円水準まで戻るのだと思います。

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