主力銘柄が売り直されて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年09月05日 17時31分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国株が大幅下落となったことで売り先行となり、日本市場も大幅下落となりました。欧州での金融不安でユーロ安となったことや、米雇用統計が予想を大きく下回り景気鈍化懸念が強まったこと、米国などの金融機関に対してMBS(住宅ローン担保証券)に販売に関する訴訟問題などが取りざたされたことなどから日本への影響、特に輸出株への影響は大きいとして売られ、指数も大幅安となりました。為替はあまり大きな動きはないのですが、信用収縮的な動きもみられて手仕舞い売りや見切り売りが嵩んだものと思います。

 米国で雇用統計の発表があり、芳しくないということで米国景気鈍化懸念が強まり、株価下落の要因の一つとなりました。ただ、「一つの要因」ではあるのですが、恐らく「米雇用統計が予想を下回ったから日本株が売られた」と短絡的に語られることになるのだと思います。中国株が高いから買われるとか、アジア株が堅調だから日本株も高いなどということと同じで、「何故株が売り買いされているのか」を語っているとはいえないと思います。ひとことで表そうと言うことなのでしょうが、それならば、本日の日本株の下落も「リスク許容度の低下=信用収縮」としか言いようがないと思います。

 米雇用統計が予想を下回ったということは、市場で予想されていた、というか大半の人が考えていた以上に雇用が厳しい、つまり、企業の景況感が良くない、あるいは業績が良くないということか、あるいは景気が悪くなる、悪くなると世間で言われるものだから、企業の経営者も萎縮して本当は忙しいのだけれど、人を採らないのかもしれません。一つの指標でもいろいろな角度から見る必要もあるのでしょうし、一つの指標がいくつもの現実=事実を語るといいうこともあるものと思います。

 ですから、市場で起こっている事象の要因とその事象がもたらす結果が何にどのような影響を与えるのかを考えることも相場を読むうえでは重要になって来るのだと思います。もちろん株価は様々な要因で動いており、個々の要因での動きも多いと思われます。一つの事で全ての動きを示そうというのは無理がありますし、便宜上ワンフレーズで本日の相場を示されなければならないことも多いのですが、しっかりと本質を知った上で示さなければならないのでしょうし、ワンフレーズの中に以下に相場の動きを緻密に凝縮するかということが相場をしっかりと知ることになるのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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