10月17日夜、オリンパスは証券アナリストや機関投資家向けに電話を通じた説明会を開いた。同社株急落のきっかけとなった英国人前社長解任の経緯や、同氏が問題視した過去の企業買収について説明するためだ。
このアナリストミーティングは、マスコミには非公開で実施された。注目企業の動向を探ろうと、マスコミ各社は参加者から情報を集めて記事にした。いくつか見出しをチェックしてみよう。
『オリンパス、前社長への法的対応を検討―森副社長』(ロイター/18日)
『オリンパス前社長 「社内情報外部に」 会社側、法的措置も検討』(日経朝刊/18日)
オリンパスについては、筆者自身も重大な関心を抱いていただけに、実際にアナリストミーティングに参加した複数の関係者を取材した。
この2社の見出しについて、感想を聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。
「ヘッドラインには明確に違和感あり。説明を聞いていた限り、法的対応については会社側が自ら言及したわけではなく、一部のアナリストが強硬に抗議し、暗に法的対応を求めたあとに、会社側が“それはもちろん検討しております”というやりとりだった」(外資系の機関投資家)。
ここで、「アナリスト」について説明を加えておく。
オリンパスは医療用精密機器では、世界市場で圧倒的なシェアを持つ優良企業だ。日本のみならず、主要国の年金基金や保険会社など機関投資家の持ち株比率が高い。彼ら向けに、内外の証券会社がアナリストのリポートを発行している。オリンパスや同業他社の動向を精査し、企業価値を映す株価が適正かどうかを助言するためだ。
先のミーティングに話を戻すと、会社側に強硬な態度で臨んだアナリストは、同社株について“買い推奨”を行っていた向きなのだ。換言すれば、顧客である機関投資家から批判の矢面に立たされていた、ということにもなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング