コラム
» 2011年10月27日 08時01分 UPDATE

相場英雄の時事日想:その「見出し」は適切か オリンパス騒動を巡る「?」な記事 (3/3)

[相場英雄,Business Media 誠]
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 ここからは筆者自身の推測と、独自の視点だ。

 突如解任された前社長が社内情報を外部に持ち出し、メディアと接触したことが社業に甚大な悪影響を及ぼすと考えるならば、オリンパスはアナリストミーティングの前に「法的対応」について腹を決めていたはずだ。

 実際、ミーティング参加者もこんな感想を筆者に寄せてくれた。

 「会社側が自分たちの正当性について自信があるならば、真っ先に法的対応をすると、聞かれなくとも主張していたはず」(同)

 ロイターと日経は、見出しのあとに続く記事のリードの中で「森副社長は、ウッドフォード氏が取締役の立場として出すべきではない情報を開示したとして、法的対応を含めて大いに検討していく必要があると語った」(ロイター)、「オリンパスがマイケル・ウッドフォード前社長への法的措置も含む対応を検討していることが一七日分かった」(日経)と触れている。

 参加者から聞いた話とは、随分とニュアンスが違うと感じた次第。同じ事柄について、ブルームバーグはこう触れている。

 「オリンパスは一七日夜、投資家向け電話会議を開催。広報担当の北田津世志氏が一八日語ったところでは、会議では森久志副社長がウッドフォード氏への法的措置を「選択肢の一つとして検討する」と発言」(18日)。

 筆者の私見だが、ミーティングを正確に伝えたのはブルームバーグだ。

 マスコミ業界に在籍していた経験からすると、ブルームバーグの記事ではファクトが「弱い」。デスクや編集幹部の立場ならば「法的対応」という強い言葉を見出しやリードに据えたくなるのが人情なのだ。

 だが、取材テーマは国際的に注目を集める大企業の経営問題だ。記事のトーンによって株価が乱高下する公算さえあった。

 このコラムを読んでいただいている読者には、複数のメディアの見出しや記事のトーンを精査することをお勧めする。なお、オリンパスは19日付リリースで『必要に応じて法的措置も検討したいと考えております』と触れているが、本稿執筆時点(24日夜時点)で同社が実際に前社長を訴えた、という発表はなされていない。

追記

同社は26日、一連の騒動の責任を取って菊川剛代表取締役会長兼社長が代表権のない取締役に退き、後任に高山修一専務が就任したと発表した。


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