週末の材料を消化しきれず方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年11月07日 16時08分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場は軟調ということや大幅高の反動から売り先行となりました。ただ、週末のG20首脳会合やギリシャ問題、イタリアの問題、そして米雇用統計などに反応し切れず、欧米株式市場の反応をみてから出ないと動けないということで、方向感のない展開となりました。外国人も金額は売り越し、株数は買い越しと売り買い偏ることもなく、個別に決算動向などに反応する動きはみられるものの、総じて方向感に乏しい展開でした。ギリシャ問題は解決とみてもよさそうですがまだイタリア問題があり、米雇用統計も雇用は増加、失業率も低下しているものの力強さに欠けるということで先行きの不透明感が強いということでしょう。

 ようやく決算発表が行なわれる段になって割安感が強い銘柄に底堅い展開となっているものがみられます。欧州の金融不安やタイの洪水の影響などが懸念されるなかで順調に大震災から復旧している企業や円高にもかかわらずしっかりと利益を伸ばしている企業などもあり、外部環境も大きいのですが、やはり、しっかりと投資をしていこうと思えば個々の企業の経営や投資の状況などをしっかりと把握していくことが必要ということなのだと思います。ただ、個人投資家の方が限られた情報の中で企業の経営方針やコストの状況などを知ることは難しいと思われますが割安か割高かを知る方法はあると思います。

 証券会社の企業レポートなどを参考にする向きもいるようですが、気をつけなければならないのは内容が非常にわかり難くできており、投資判断や目標株価を出している割にはその企業の状況、特に先行きの見通しに対してはかなり恣意的、主観的にみているということです。客観的に見て割安とか割り高と判断できないにもかかわらず投資判断を示していることで、そのレポートの無いように基づいて売り買いするというよりは投資判断や目標株価に基づいて売り買いするようなことになってしまうのです。

 先行きに対して、為替の状況など一つをとっても見え難いのですから、為替の影響の大きな企業の目標株価を示すことは至難のわざであり、その前提となる為替の動きがあって初めて買いであり、売りであるわけです。その点を考えずに単に投資判断や目標株価を見ることが多いのですから、前提となる諸条件をはっきりとし示していない限り、投資判断や目標株価などというのはあくまでも目安、現状の為替や金利状況が続くとした場合ということになるのだと思います。内容をしっかりと把握し、その企業の業績動向を勘案して割安か割高かを判断することが賢明といえるでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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