「夢を追いかけたいけど、どのようにしていいのか分からない」「お金がないから、夢をあきらめなければいけない」――そんな人も少なくないだろう。未来の“アーティスト”を育てるために、パソナグループはちょっと変わった支援を続けている。
「プロの音楽家になりたい」「将来は農家を目指したい」。こうした人を対象に、同社は2011年4月から「ここから村」というプロジェクトをスタート。午前中は農業、午後からはアートなどを学ぶ、“半農半芸”がコンセプトだ。
ここから村のメンバーは約150人。淡路島の北に位置する岩屋という街で活動を続けている。カリキュラムを見てみると、芸術家に必要なマネジメントスキルや企画力のほか、農業の基礎知識などがズラリと並んでいる。また社会人として必要なビジネス研修の時間も設けられている。例えばビジネスマナー、プレゼンテーション、PCといった講座を学ぶことができる。
ここから村の最大の特徴は、同社の契約社員として採用されること。就業時間は9時〜14時45分まで(月曜日〜土曜日)。残りの時間は自由なので、自分の時間を重視した働き方が可能だ。また毎月10万円の給与が支払われるほか、無料のシェアハウスも用意されているので、お金のことを気にせずに夢実現のために打ち込むことができるだろう。
ここから村で働くことができるのは、原則1年間のみ。3カ月後の“卒業”を控えたメンバーは12月17〜18日、和太鼓、ジャズ、タップダンスなどを、地元淡路島で披露。ただ単に演じるのではなく、映像や音響、美術、衣装など舞台に関わるすべてをメンバーが企画・運営した。
舞台の美術を担当した河田彩さんは5月末に、横浜市からやって来た。農作業などの合間を縫って、舞台の稽古が続く日々。大変だったことを聞いたところ「先生にまずイメージ案を出してもらった。そして、それを現実のモノにすることが難しかったですね」と振り返る。
舞台で使った大道具のほとんどは、ダンボールを材料にしている。そこにベニア板や電球などを装飾するため、どうしても重くなってしまう。その重さに耐えられなくなって、いくつかの大道具が壊れてしまった。そんな失敗を何度も繰り返しながら、本番前に完成させたそうだ。
河田さんに卒業後の進路を尋ねると「2〜3年は淡路島にいて、農業を学びたいですね。そして将来は、古民家再生の仕事に携わりたい」と夢を語った。
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