コラム
» 2012年04月10日 08時00分 UPDATE

窪田順生の時事日想:借金大国日本で“踏み倒す人”が急増している理由 (2/3)

[窪田順生,Business Media 誠]

「払い過ぎたものは返してもらうのが当たり前」

 記事のなかでも触れているが、給食費の不払いが増えている自治体の担当者によると、給食袋で子どもたちに持ってこさせたころ、不払いはほとんどなかったが、2004年に口座振替に切り替えたところ急増したというのだ。

 給食費を滞納している、なんてことが周囲にバレたら子どもがいじめられるし、親としてもカッコ悪い。顔の見えない事務手続きによって世間体を気にする必要がなくなった時、踏み倒す人が急増する、というのは非常に興味深い。

 実は近年、この構図を象徴する社会現象が起きている。満員電車に揺られて通勤をしているサラリーマンならば、こんな中吊り広告をよく見かけないだろうか。

 「その借金、利息を払い過ぎていませんか」

 弁護士事務所や司法書士事務所の「過払い返還請求」の広告である。「過払い」についての詳しい説明は避けるが、分かりやすく言うと、消費者金融の利息が高過ぎると最高裁が認定したことを受けて、弁護士や司法書士が「払い過ぎた利息」を取り戻してくれたり、借金をチャラにしてくれたりするもので、いわば「合法的な踏み倒し」である。

 弁護士・司法書士にとっては簡単な事務手続きで多額の報酬を得ることができるため、まさにカネの成る木ということで、テレビ、夕刊紙、ネットといたるところで「客」に呼びかけ、その勢いは「過払いバブル」と揶揄(やゆ)されるほどだった。

 この現象を取材していた時、ある弁護士からこんなことを言われた。

 「ここまで過払い返還請求が増えた背景には、広告で債務者に“払い過ぎたものは返してもらうのが当たり前”という考えを広く周知させたのが大きい」

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