コンプガチャは「景品表示法上の問題点がある」――消費者庁、来週にも公式見解を表明(3/3 ページ)

» 2012年05月09日 17時09分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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今もコンプガチャが行われているが……

――コンプガチャの注意喚起の時期の件なのですが、現状でもコンプガチャを使ったソーシャルゲームが運営されていて、やっている企業はこれによって、今この時点でも利益をあげている状態かと思います。現状で違法なビジネスが続いているわけですが、一刻も早く考え方を示すべきではないかという意見があるのですがいかがでしょうか。

福嶋 その通りだと思っていて、可能な限り速やかに1日でも1時間でも早くやりたいとは思っています。ただ、先ほども申し上げたように見解をきっちり詳細まで詰めないといけませんし、どういう実態があるかもある程度把握した上で見解をまとめないといけませんので、もう少し時間がかかるというところです。ずるずる伸ばすつもりはまったくありません。そういうことはやってはいけないと思っていますので、できる限り速やかにやりたいということです

グリーの『探検ドリランド』などでは現在もコンプガチャが行われている。しかしこの会見後、グリーを含むソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会加盟6社はコンプガチャに関し、新規にリリースするゲームについて中止する方針を決定。また、各社で現在運営しているソーシャルゲームのコンプガチャについても5月31日までに終了、以降は新たなコンプガチャを行わないことを決定した

――具体的には来週くらいには出されるということですか。

福嶋 今週は難しいと言っていますから、早ければ来週という話になりますが、今ここで来週必ずできますという断言まではちょっとできないので、繰り返しですみませんが、可能な限り速やかにやりたいと思っています。

――見解を詳細まで詰めないといけないとおっしゃいましたが、何がいったいハードルになっているのでしょうか。

福嶋 ここがどうしても説明できなくて時間がかかっている、というような支障があるわけではありません。ただ、やはり見解を示すと言っても、実態がどうなのかをすべて把握はできないにしても、いったんきっちり把握した上で見解を示さないと、示した見解と実態が全然乖離(かいり)していたら見解を示す意味もないわけです。そういったことも含めて実態をちゃんと踏まえつつ、きっちりした見解をまとめるために、もうちょっと今時間かかるというところです。

――要は実態の把握にちょっと時間がかかっているということですね。

福嶋 そういう理解をしていただいても、まったく間違いではないですね。

――昨日、最大手とみられているグリーの社長が会見して、「消費者庁と連絡を取っていて、消費者庁から言われたら真摯(しんし)に対応したい」とおっしゃっていました。そうやって接触しているのですから、今からでも「やめといてね」と内々に言ってはいないのですか。

福嶋 今、申し上げたように、実態を把握する上で実際にやっている事業者から話を聞くことはあり、その中で今の消費者庁の見解の基本的なところを話しているわけです。そういうことを踏まえて事業者が是正の検討をされるということはありうるとは思うのですが、消費者庁としてはやはり見解を示して、要請をしていくということになると思います。自主的にどんどん改善されるのはおおいに結構なことだと思います。

グリーの田中良和社長(5月8日の決算発表会)

――今後見解を出すまでの間、事業者側から是正しますよという動きが出てきた場合、消費者庁としての規制や見解の厳しさを少々緩めるといったこともあり得るのでしょうか。それとも現在かなり被害が横行し始めている中、厳しい視点を保った上で見解を出す方に進めていかれるのでしょうか。

福嶋 あまり仮定の話をするのは避けたいと思うのですが、大手は限られますが、事業者は非常に多いと思いますので、「どこかが是正をする方向になったから、見解を緩めるか」ということはないと考えています。

――現状、カード合わせに集中しています。ほかのソーシャルゲームがはらむ問題、ガチャの賭博性などには法律が及ばないと思うのですが、消費者庁としてあるゲームが消費者にとっておかしな商法なんだと思えば、刑法を持っている警察庁なりに働きかけて、霞が関で関係省庁集まって、どういう風に規制していこうかという呼びかけなりは、消費者代表としてなさらないのでしょうか。

福嶋 もちろん、そういう必要性があれば、あらゆる取り組みを考えたいと思います。しかし、事業者のみなさん自身もソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会を作って自主改善に取り組んでおられますから、そういったことへの協力もしていきたいと思いますし、適正なものになるようにあらゆる方法を模索していくつもりです。

――問題は青少年がタダのところから入っていって、何十万円もを使っていくという仕組みであると思っています。全体の中でこの絵合わせがどのくらいの収益率をあげていて、ここに踏み込んだ時にどのくらい解消されると考えているのかという見通しはあるのでしょうか。

福嶋 今の時点で事業者の正確な収益構造の把握というのは、全事業者というのはとても難しいと思います。大手である程度話を聞くということはありうると思いますが、繰り返しですが今回は景品表示法の禁止事項に当たる可能性があるというものについて取り組みをしている、法律上問題となりうるものについて取り組んでいるんです。

 しかし、その法律に当たらなければ何をやってもいいかという話ではありません。法律に抵触しなければ子どもの射幸心をいくらあおっても構わないのか、という話ではないですよね。それは社会的に非難されることもあるだろうし、先ほど言いましたような自主的な事業者の取り組み(が大事で)、自分たちの業界を健全に発展させていくためには社会的な批判を受けるような事業ではダメだと思いますよね。

 そういう風に事業者の方も認識して、改善しようとしている取り組みもあるわけですし、景品表示法だけですべてが解決すると考えているわけではありません。

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