コンプガチャは「景品表示法上の問題点がある」――消費者庁、来週にも公式見解を表明(2/3 ページ)

» 2012年05月09日 17時09分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

相談件数が2012年に入ってから急増

――消費者庁として、ガチャ並びにコンプガチャによる被害の実態を把握したのはいつごろからだったのでしょうか。

福嶋 いろんな相談を受けるルートはありますが、全国の消費生活センターの方から寄せられる相談情報は、消費者庁は一番PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)というシステムで見ています。

 この相談件数を見ると、PIO-NETには若干時間がかかって登録されるので、実際の数より多少少なめに出てくるのですが、それでもコンプガチャにかかわる相談は2010年度から出始めて、2011年度というか、2012年になってから急に増えています。

 2010年度から来ていて全体としては65件来ていますが、そのうち今年になってからが37件なので、最近目立っています。個々の相談事例は消費者の方が相談したものなので、内容をここでお話しすることは難しいのですが、1カ月で数十万円の請求が来てしまったみたいな、ちょっと見過ごせない例もいくつかあると認識しています

――今回の景品表示法にとどまらず、ゲームセンターの非店舗営業の扱いという形での風営法の適用や、刑法上の賭博罪の適用という点も議論されるかと思うのですが、こちらに関しての見解をお聞かせください。

福嶋 そういったものに無関心というわけではありませんが、消費者庁が直接所管をしている法律の運用として今、景品表示法の問題点を明確にするというところ、消費者庁としては集中しています。

――絵合わせのところだけを規制しても、次に絵合わせ以外のもので、射幸心をあおるような新しいモノが出てくることが想定されると思うのですが、それについては今回は踏み込まないということでしょうか。

福嶋 カード合わせという方法で懸賞による景品等を提供することは禁止事項なので、まずここできっちりやりたい。この見解を明確にする。これをどう運用するかということも、考え方として明示していませんでした。そういった法の適用事例はありませんのでしたから、まずそういう考え方を明確にして、注意喚起をしていきたい。抵触するようなものがあれば、事業者が是正してくれるように指導していきたいと思っています。

 ガチャで得られるカードというのは景品というより取引そのものです。景品というより取引に消費者を誘引するためのものというのは、それを使っていろんなゲームをバージョンアップしてできるとか、楽しくできるというんですかね、変な表現で難しいですが、そういった利益ということになると思います。それによってカードの取引に消費者を誘引しようということなので景品とみられるということで認識しています。

――絵合わせではない別の抽選のスタイルとか、違う手法がいろいろ考えられるだろうと思います。

福嶋 何回も繰り返して申しわけありませんが、カード合わせの形でやるものということについて今、考え方を示そうとしていますので、それに当たれば、仮にガチャでなくても、景品表示法上の問題はあるということに当然なります。

――本来、法律的に違反があるなら、景表法の措置命令を考えるのではないかと思いますが、なぜ措置命令をしないのでしょうか。全体的な被害がどのくらいあって、ここに(規制を)かけるとどういう効果があるということを法執行機関であれば当然明確にする必要があると思います。

福嶋 こういうカード合わせの方法による景品の提供が問題になったのは、実はソーシャルゲームが出てくるずっと前の昔、とても大きな問題があって、こういう規制がされたわけですね。それが相当な時間が経ってから今、ソーシャルゲームでもう1回問題になっているのです。

 今までソーシャルゲームなどにこの景品表示法の規定を適用して法的措置をとったことはありません。だから、いきなり法執行ということではなくて、まず消費者庁の考え方を示して、こういうことをやると、こういう実態があると、景品表示法上の問題がありますよ、禁止事項に抵触しますよということをきっちり示したいと思います。法執行をしないということではなくて、その上でなおかつ抵触するようなものがあれば、それは厳正に対処して法執行もしていくということです。

 今来ている被害額を単純に足して被害総額だと言っても、恐らく社会全体の被害総額とはかなりかけ離れた、間違ったメッセージを出すことになると思うので、その辺、被害総額を出したくないということでは全然なくて、どのくらいまで把握できるのか、どのくらいまで本当に示せるのかということは検討してみたいと思います

――先ほどあった(被害)相談というのにさかのぼって景品表示法上のカード合わせ(の規制)を適用するのではなくて、今の段階でそれに注意喚起をして、それに応じない場合は法律を適用することはありうるということですね。

福嶋 そうですね、2段階です。まず注意喚起をして、問題があれば是正をしてもらうということが大事かと思います。

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