――もともと海外で働くという志向をお持ちでしたか?
鈴木 学生のころから、海外、そうでなくても国際的な職場で働きたいと望んでいました。
―ーなぜ英国へ渡られたのですか?
鈴木 開発学は英国が発祥で、実際多くの大学院で開発学のコースを提供していたためです。また費用が米国よりも安く済むというのも大きな理由でした。米国の大学は学費が非常に高い上に、修士課程は2年かかりますが、英国は1年でとれるのです。
あとは大学時代に所属していた国際交流団体で欧州の学生と触れ合うことが多く、欧州に関心があったこともあります。
――英国に来てから遭遇した困難は何でしたか?
鈴木 グループの中で発言・自己アピールすることです。
私は大学のチュートリアル(小グループのゼミのようなもの)で議論についていくのに苦労しました。さまざまななまりのある英語が、しかも会話調で飛び交うのでとても理解しづらかったです。しかも、発言する機会を与えてもらえるわけではないので、他人をさえぎって会話に参加しないと、何も言わずに授業が終わってしまうことも多々ありました。
これは個人的な性格なども関係すると思いますが、大勢の前で積極的に発言するというのは今の職場でも難しいと感じることが多々あります。
あとは、顧客サービスが著しく悪い(日本が良すぎるという話もありますが)ことです。普段の生活で相手にしなければいけないお店や公共サービスが、とにかく無責任で平気で間違いを起こします。問題があれば解決するまで強気で粘り強く主張する必要があります。
――海外(英国)で働くこと、生活することの魅力について教えて下さい。
鈴木 海外とひとくくりにすることはできませんが、日本と一番違うかなと思うのは、上下関係など形式張ったものをあまり気にしなくて良いということだと思います。
英国は意外(?)と礼儀を気にする国なので、もちろん失礼な態度は禁物ですし、上下関係がまったくないとは言えませんが、上司に対しても提案や異論を持ち掛けることが普通に行われていると思います。
あとは休暇を大事にすることです。有給を全部使うのはもちろん、よっぽどのことがなければ土日はしっかり休み、平日の夜もさっさと帰ります。
それから私が個人的に非常に魅力的と思っていることは、英国、特にロンドンの人々の間で、異なる文化・価値観に対する理解度が高いということです。もちろん個人によって差はありますが、例えば人種差別的な発言や行動には非常に敏感ですし、セクシュアル・マイノリティに関しても同じことが言えます。
――今後の予定や将来の夢(目標)について教えてください。
鈴木 特に具体的なものはありませんが、そのうちもう少し公的な機関で政策面に携わる仕事をしたいなと漠然と思っています。
――最後に、日本の若者にメッセージをお願いします。
鈴木 若くて身軽なうちは少しの無理はできるので、思い切って色んなことに挑戦してみて下さい。その1つが海外に出ることかもしれません。
私はロンドンにしか住んだことがありませんが、それでも、さまざまな価値観、考え方に出会い、たくさんのことを学びましたし、それと同時に客観的な目で日本や日本人を見つめ直すことができました。日本に対して非常に好意的な人もいれば、そうではない人、あるいは何も知らない人もいます。
そのようなさまざまな見方を知ることで、改めて日本の良さに気づいたり、逆に反省したりすることは大事なことだと思います。海外での就職などは簡単にいかないことも多いですが、頑張れば何とかなることも多いです。
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