振り込め詐欺にひっかかる奈良県民、なぜ?(3/4 ページ)

» 2012年07月05日 19時24分 公開
[産経新聞]

多様化する手口

 度重なる注意喚起にもかかわらず、その後も振り込め詐欺被害は続く。

 6月5日には、同県天理市内の主婦(63)が、インターネットサイトの利用料名目で現金を要求される架空請求詐欺事件で、約4285万円をだまし取られた被害が明らかになった。

 県警によると、4月2日午前、主婦の携帯電話に一通のメールが届いた。有料サイトに料金の滞納があり、サイトの管理会社から督促を依頼されたという内容だった。

 「訴訟差し止め希望者は大至急連絡を」などと不安をあおる言葉が並んでいた。驚いた主婦が問い合わせたところ、応対した男に「別のサイトにも未払いがある」「裁判になる。供託金がかかる」などと告げられた。

 主婦は夫と2人暮らしだが、「自分で解決しよう」と決意。その後も半ば脅しのように要求は続き、誰にも相談することができず、翌3日〜5月22日、奈良、天理両市内の郵便局から15回、計約4285万円を現金書留で送金した。

 現金書留の封筒には50万円までしか入らないため、主婦は89袋もの封筒に現金を分けて送金したという。

 16回目に約250万円を送金しようとしたところで、ようやく局員が異常を察知。主婦から事情を聴いて送金先を調べた結果、架空請求詐欺事件に多用される虚偽の会社名と判明した。

 県内では他にも金融機関からの振り込みではなく、郵便局から現金書留やゆうパックで送金させる手口も増加している。

 県警の担当者は「警戒を強める金融機関を避け、郵便局から送金させる手口に移行しているのではないか」と分析する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.